ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「パシフィック・リム:アップライジング」見てきました(二度目)

4DX3D吹き替えで。5年前に前作公開したときはまだ名古屋に1つあるだけだったよねー。世の中ずいぶん変わったよな。

4DX見るのはガルパン劇場版以来でしたが、まーどっかんどっかんよく揺れて楽しめましたw

初見と比べて新発見みたいなことは特にないんだけれど、名も無きタイタン・リディーマーのパイロットの勇戦には深く称賛を贈る次第で、片腕だけでも東京まで持ってくるわけだよなァ…とは思った。

ミシェル・ウエルベック「H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って」

 

 

なんか変な本だった

ラヴクラフトの研究書…なんだけど、ラヴクラフト賛というかなんというか、ひたすら演説を聞かされているような気分でアッハイスゴイデスネーみたいな感想。スティーブン・キングによる序文の冒頭に「学問的ラブレター」とあって、大体そんな感じです。ちょっと酔ってるような印象は荒俣宏の初期のラヴクラフト評に通じるものがあるような。

ラヴクラフトの作品群は暴力的でかつマゾヒスティックだ、みたいなことが書かれているけれど、個人的にはあれはペシミズムなんじゃないかと思われる。宇宙的ペシミズムってなんだ。

 

「パシフィック・リム:アップライジング」見てきました

公式。ちなみに前作の感想はこのへんにいろいろあります。

 

あれだけきっちりまとまった作品の続編を新しい監督で、デイシーンメインでと聞いてやや身構えていたのだけれど、個人的には全然オッケイで十二分に楽しめました!(とはいえ前作を楽しんだ人の全てが楽しめるかと言ったら、それは微妙だと思う)

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ボリス・ヴィアン「北京の秋」

 

ボリス・ヴィアン全集〈4〉北京の秋

ボリス・ヴィアン全集〈4〉北京の秋

 

 

舞台は北京ではなく、季節は秋ではない。十代の頃「ツイン・ピークス」とか「伝染るんです。」に代表されるような不条理がマイブームだった時期があって(笑)、ボリス・ヴィアンもその頃にいろいろ読みました。なかでも本作が一番面白かったんだけど、その後何年かたってボリス・ヴィアンが再評価(なのか)された時には全然取り上げられなかったんだよねー。かなり久しぶりに読み返してみたらまあこれは再評価もされないわなと納得してしまったわけだ。なにしろ変な話だw

何が起こるというわけでもなく、じゃあ何もおこらないのかというとそうでもない。世捨て人の住まうエグゾポタミーの砂漠に集う様々な人々が、そこには技師も医者も刑事も恋人たちも様々にいるのだけれど、誰もが見な世を捨てているようでさりとてそうともいい切れず、なんだかフワフワした空気のなか鉄道は敷設され、しかし人々はぱたぱた死んでホテルも鉄道も崩れて行く。

 

変な話だなあ。

 

なんかね、映画向きなんだと思います。スチームパンクというか前衛不条理ローテクSF映画みたいな雰囲気。なんだそれ。

小泉悠「徹底抗戦都市モスクワ」

 

徹底抗戦都市モスクワ 戦い続ける街を行く!

徹底抗戦都市モスクワ 戦い続ける街を行く!

 

 若手軍事評論家として最近はNHKなどでもよく出演されているイズムィコ先生はじめ軍事クラスタのお歴々による現代モスクワ観光ガイドブック。観光ガイドブックであるから当然これからモスクワを訪れる日本人旅行者(軍オタ)向けに書かれた実践的な内容なのだけど、まあ自分が生きてる内にモスクワ行くことなんてないでしょうね(笑)

まあでも、テレビのグルメ番組も旅番組も、むしろ絶対に行けないだろうと思ってみたほうが素直に楽しめたりもするもので、この本も素直に楽しめました。プーチン政権下による反映するロシア、2016年の現状を記録する貴重な一冊です。

速水螺旋人、名城犬朗両氏によるイラストやコラムも楽しくて、たとえロシアに行く予定も計画も無いという人でも、かつての鉄のカーテン時代と比べて大きく開放された今のロシアと、それでも開放されない今のロシアの、複雑な国情の片鱗に接することが出来るでしょう。

 

むかしソ連趣味に足を踏み入れたころ、コミケに出ていた「PVO」というソ連軍研究サークル(当時はソ連研究サークルなんてそこぐらいしか無かった気がする)が、ガイドブックというかモスクワ旅行記を本にしていて、そちらは1991年、ソ連最末期の現状を記録していました。読み比べるとこの四半世紀のロシアの変貌というものを感じて、まあ面白いもんです。自分は変わらずボンクラですw

今期は豊作でした

アニメの話ね。

 

・#よりもい こと「宇宙よりも遠い場所

当初全くスルーするつもりだったんだけど、昔住んでた館林が舞台で~と聞いて見始めたらまあぐいぐいハマりまくりですよ。どこでスイッチが入ったかといえばたぶん3話で、結月に対して他の三人が「別に友達ではない」旨をつげるところかな。そこでこの作品は「他人であった誰かが友達になるまでの話」なのかと思ったのだけれど…まあ、どうでしょうね。たぶんこの作品は「日常もの」だったんだろうと思います。「宇宙よりも遠い場所」という作品タイトルを最終話直前回に使って、ではその先に何があるかと言えば日常だった。日常の当たり前は、実は困難の連続であり、女子高生が当たり前の自分を全うする、つまりはハードボイルドアニメだったんだよ原寮だよチャンドラーだよマジだよ!!!!

このご時世にオリジナル1クール作品でこんなにも骨太なアニメが見られる、とても幸福な体験でした。「何を描くか」とおなじぐらい「何を描かないか」にもウェイトが置かれていて、特に父親の存在がほぼ無い、というのは結構なおどろきでした。キマリの父親こそ出てきたものの、当初母子家庭かと思うくらい存在感が希薄で、他の3人の父親はまったく出てこない。日向に至っては家族の描写がひとつもない。居るか居ないかさえわからない。でもそれは多分、描いちゃうと話の流れに緊張感が出ないから、あるいはノイズになるからじゃないかなー。10話で報瀬に叱責される日向の元チームメイトたちが、ではどんな表情でそれを聞かされていたのかも一切画面に表れない。そういう思い切りの良さは今風ですね。

もしもこのアニメが2クール作品だったらその辺をもっと掘り下げられたかもしれないけれど、それをやらないことでお話は純化されたんだろうと。

声優陣の演技は皆良かったけれど、やはり花澤香菜さんであります。一作ごとにどんどん成長というかどんどん素敵になって行くけれど、ときどきほろっとカミナギっぽいところを見せてくれるのがたまらなくうれしい。

 

・#高木さんめ こと「からかい上手の高木さん

「最近のアニメは原作の一部を切り取って無難にまとめる工場みたいな」作りだというのは、しばしば批判的に言われることですが、この作品はまさにそういう要素を大変ハイレベルに仕上げたアニメだったように思います。高橋梨衣さん演じる高木さんと、梶裕貴さん演じる所の西片くんの、二人の演技の絶妙な緩急やテンポの良い演出はもちろんだけど、ユカリちゃんはじめボンクラーズ(違)3人組とか高尾木村コンビとかまーみんないいよなあ10代はなあ…

たぶんね、高木さんや西片くんのようなひとたちを「ウーフニック」というんですようん、きっとそうだ。

 

・#ゆるキャンこと「ゆるキャン△

身の周りで評判が良いので途中から見始めました。よりによって初めて見た話が「夏用のシュラフでいかにして冬場の使用に耐えるか」なんて回だったのでこいつら事故を奨励してるのかとやや鼻白んだのだけれど、まあそんなことはなかった。むかし山登りしていたころを、そういえば自分も10代だったなあ、ちょっと思い出してほっこりするアニメでした。あと身延が舞台の回があって、やっぱりむかし山登りしていたころに身延には良い思い出があって、極めて個人的に面白かったなあ。斎藤さん可愛い。

 

・なんだっけ、あれだよアレ。

いやまあ見てたけどなあ。良いものを作るにはお金が大事ですというのは真理ですね。「けものフレンズ」とはいろんな意味で対照的でした。

 

今期のアニメは1クール作品でも随分楽曲(主題歌や挿入歌)の多い作品があって、いまどきのアニメの営業、利益を産み出す方法としての「歌」の占める割合は増えて行くのでしょうね。それはきっと良いことなのです。

 

放送継続中の作品についてはまた別の機会に。そして「カードキャプターさくら クリアカード編」は信仰の分野に属するので触れません。

伊能高史「ガールズ&パンツァー劇場版 Variante」3巻

 

ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

 

 今回も大変楽しめた公式二次「創作」第3巻。優花里と麻子が2人だけで会話するシーンがあって、ドラマCDなどはともかくこれまで本編映像ではちょっと無かったように思う。TVシリーズの頃からずっとドラマに必要な場面だけを無駄なく繋いで行くような作りだったから、在りそうでなかったシーンというのは結構多いのだろうな。まほの独白というやはりこれもオリジナルなところで、本編の回想シーン(本編ではみほによる回想シーン)をほぼそのまま入れてくるのには唸らせられました。ああ、西住家の犬になりたい……

 

チームをミックスしての様々な生徒たち同士のやりとりとかね、いいよねえこういうのはね。