ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

小説・純文

エドワード・ケアリー「望楼館追想」

望楼館追想 (創元文芸文庫) 作者:エドワード・ケアリー 東京創元社 Amazon <アイアマンガー三部作>がずっと気になり、そしてずっと読んでいないエドワード・ケアリーのこれがデビュー作だと聞いて読んでみる。もともとは2002年に文芸春秋から出て2年後に文…

佐藤亜紀「喜べ、幸いなる魂よ」

喜べ、幸いなる魂よ (角川書店単行本) 作者:佐藤 亜紀 KADOKAWA Amazon やあ面白かった、これはよかった。大蟻喰先生相変わらず冴えわたる。18世紀フランドル地方の商人一族というか商人一族になった男の一代記か。なんていうと時代小説なんだけれど、ここに…

藤野可織「爪と目」

爪と目(新潮文庫) 作者:藤野 可織 新潮社 Amazon イタロ・カルヴィーノ「冬の夜ひとりの旅人が」*1に続いて二人称小説を読んでみる。日本人作家で短編作品、2013年第149回芥川賞受賞作ということでたいへん読みやすく、十分歯が立った。語り手は三歳の少女…

イタロ・カルヴィーノ「冬の夜ひとりの旅人が」

冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス) 作者:イタロ・カルヴィーノ 白水社 Amazon 二人称小説ってどんなんだろうという参考に読んでみる。イタロ・カルヴィーノは大昔に「まっぷたつの子爵」あたりを読んだような気がするけどよく覚えていないなあ。ぐらいの…

佐藤亜紀「黄金列車」

黄金列車 作者:佐藤 亜紀 発売日: 2019/10/31 メディア: 単行本 「スウィングしなけりゃ意味がない」*1に続く第二次世界大戦もの。あちらがドイツの無軌道な若者であったのに対して、こちらはハンガリーの中年~初老の公務員たちが主体となる。タイトルにな…

ブッツァーティ「タタール人の砂漠」

タタール人の砂漠 (岩波文庫) 作者:ブッツァーティ 発売日: 2013/04/17 メディア: 文庫 人生とは不条理なもので、不条理なものに囚われる人間というのはしばしば文学が止揚するテーマでもある。有名なところでは安部公房の「砂の女」があるけれど、本書「タ…

カート・ヴォネガット「カートヴォネガット全短篇 4 明日も明日もその明日も」

カート・ヴォネガット全短篇 4 明日も明日もその明日も 作者: カートヴォネガット,大森望,後藤美月,柴田元幸,浅倉久志,伊藤典夫,宮脇孝雄,鳴庭真人 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/03/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る カート・ヴォ…

ダフネ・デュ・モーリア「人形―デュ・モーリア傑作集」

人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫) 作者: ダフネ・デュ・モーリア,務台夏子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/01/12 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る ずいぶん前に「鳥」を読んだ*1デュ・モーリアの短編集。「いま見て…

ブッツァーティ「神を見た犬」

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫) 作者: ディーノブッツァーティ,関口英子 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2007/04/12 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 78回 この商品を含むブログ (96件) を見る 以前岩波文庫版を読んだ*1もので、表題作ほか何篇かは…

カフカ「城」

城 (新潮文庫) 作者: フランツ・カフカ,Franz Kafka,前田敬作 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1971/05/04 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 76回 この商品を含むブログ (126件) を見る カバーが違うけど読んだのはこの新潮文庫版だ。 なんか…ダラダラ読…

ハーラン・エリスン「愛なんてセックスの書き間違い」

愛なんてセックスの書き間違い (未来の文学) 作者: ハーラン・エリスン,若島正,渡辺佐智江 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2019/05/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る なんとも刺激的なタイトルで「『世界の中心で愛をさけんだけもの』…

カート・ヴォネガット「カート・ヴォネガット全短篇 3 夢の家」

カート・ヴォネガット全短篇 3 夢の家 作者: カートヴォネガット,大森望,長崎訓子,浅倉久志,伊藤典夫,宮脇孝雄,谷崎由依,鳴庭真人 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/01/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 忘れたころに読んでくシリー…

カート・ヴォネガット「カート・ヴォネガット全短篇 2 バーンハウス効果に関する報告書」

カート・ヴォネガット全短篇 2 バーンハウス効果に関する報告書 作者: カートヴォネガット,大森望,100%ORANGE,浅倉久志,伊藤典夫,宮脇孝雄,円城塔,鳴庭真人 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/11/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 全四…

ブッツァーティ「七人の使者・神を見た犬」

七人の使者・神を見た犬 他十三篇 (岩波文庫) 作者: ブッツァーティ,脇功 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2013/05/17 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (13件) を見る ツイッターのハッシュタグ「#今まで読んだ中で一番こわい短編小説」で「なにかが…

カート・ヴォネガット「カート・ヴォネガット全短篇 1 バターより銃」

カート・ヴォネガット全短篇 1 バターより銃 作者: カートヴォネガット,大森望,浅倉久志,伊藤典夫,宮脇孝雄,鳴庭真人 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/09/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本国でも昨年編纂されたばかりの全短篇集成…

佐藤亜紀「スウィングしなけりゃ意味がない」

スウィングしなけりゃ意味がない 作者: 佐藤亜紀 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/03/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (16件) を見る やー、これは面白かった。勢いで一気に読んでしまった。 第二次世界大戦下のドイツ・ハンブルグで、当…

カート・ヴォネガット「人みな眠りて」

人みな眠りて 作者: カートヴォネガット,Kurt Vonnegut,大森望 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/04/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る カート・ヴォネガットの初期未発表短編集として「はい、チーズ」(http://abogard.hat…

ボリス・ヴィアン「北京の秋」

ボリス・ヴィアン全集〈4〉北京の秋 作者: ボリス・ヴィアン,岡村孝一 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1980/04 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 35回 この商品を含むブログ (6件) を見る 舞台は北京ではなく、季節は秋ではない。十代の頃「ツイン…

佐藤亜紀「吸血鬼」

吸血鬼作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/01/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る時代小説なんだろうなあと思いながら読んでたら、大蟻喰先生の本を最後に読んだときも同じこと書いててちょっと笑った*1。過去の時代、外…

ケヴィン・ウィルソン「地球の中心までトンネルを掘る」

地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション) 作者: ケヴィン・ウィルソン,芹澤恵 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/08/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (14件) を見る 不思議な読後感の残る話が多い短編集。表題作は大学を出て…

西崎憲 編訳「短編小説日和 英国異色傑作選」

短篇小説日和―英国異色傑作選 (ちくま文庫)作者: 西崎憲出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/03メディア: 文庫 クリック: 12回この商品を含むブログ (17件) を見るおなじくちくま文庫で出ている「怪奇小説日和」*1とセットに(?)なるような一冊で、こち…

カート・ヴォネガット「はい、チーズ」

はい、チーズ作者: カートヴォネガット,大森望出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2014/07/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る“ロジャーのやつにケツの毛まで抜かれた”って言葉が「タイムクエイク」にあって、作家が死後に未発表作品…

グレアム・グリーン「国境の向こう側」

国境の向こう側 (ハヤカワepi文庫)作者: グレアムグリーン,Graham Greene,高橋和久出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/11/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る短編集。「純文」などと書いたけどミステリからSF風のものまで収録作の作風…

ジェフリー・アーチャー「15のわけあり小説」

15のわけあり小説 (新潮文庫)作者: ジェフリーアーチャー,Jeffrey Archer,戸田裕之出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/04/26メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (13件) を見る例によって純文でもなんでもないけどこのニュース見…

グレアム・グリーン「おとなしいアメリカ人」

おとなしいアメリカ人 ハヤカワepi文庫作者: グレアム・グリーン,田中西二郎出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/08/18メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (19件) を見る古書店で入手。マイケル・ケイン主演映画「愛の落日」の帯…

ジャン・マーク「ライトニングが消える日」

ライトニングが消える日作者: ジャンマーク,Jan Mark,三辺律子出版社/メーカー: パロル舎発売日: 2002/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るイギリスの、児童文学ということになるのか、都市から郊外へ家族で越してきた主人公アンドルーと引…

ロン・カリー・ジュニア「神は死んだ」

神は死んだ (エクス・リブリス)作者: ロンカリージュニア,藤井光出版社/メーカー: 白水社発売日: 2013/04/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (48件) を見る「とんでもねえ、わたしゃ神様だよ」と言ってたのは志村けんだけど、そんな感…

ケヴィン・ブロックマイヤー「第七階層からの眺め」

第七階層からの眺め作者: ケヴィンブロックマイヤー,金子ゆき子出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2011/11/17メディア: 単行本 クリック: 29回この商品を含むブログ (31件) を見るジャンル分けについてはあまり意味はないのだと巻末解説で…

恩田陸「チョコレートコスモス」

チョコレートコスモス (角川文庫)作者: 恩田陸出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/06/23メディア: ペーパーバック クリック: 20回この商品を含むブログ (28件) を見る「チョコレートコスモス」が純文だというのは「ソリッド…

グレアム・グリーン「二十一の短篇」

二十一の短編 ハヤカワepi文庫作者: グレアム・グリーン,高橋和久出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/06/09メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 75回この商品を含むブログ (24件) を見るこのブログで「純文」とカテゴライズされてる作品は大抵「どのカテ…