ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

クリス・ウッディング「魔物を狩る少年」

魔物を狩る少年 (創元推理文庫)

魔物を狩る少年 (創元推理文庫)

久々にジャケ買い(笑)
解説をちらりと読んで著者が日本のアニメファン(ナウシカエスカフローネだってさ)だと知りレジに持ってく。

日本のマンガやアニメが海外のクリエーターに影響してるのは今更言うまでもないことだけれど、影響されて出来た「小説」って珍しいかな、と。

中身は陳腐でしたが(爆)

解説子は

様々な魔物が跳梁跋扈する都市。魔物を追うのは、父親譲りの腕前を持つウイッチハンターの少年サニエル。彼が出会ったのは、記憶喪失の少女アライザベル。そして彼らの前に秘密結社が、連続殺人鬼が現れる――これだけでも、ゾクゾクしてくるではないか。

などと書いているが、それだけではゾクゾクしない。優秀だが未熟な主人公、謎めいた美貌の少女、頼りになる相棒。有効なパターンではある、驚きはない。

「ファンタジー世界は永遠の中世だ」という言葉があって、それは非常に狭義のファンタジー小説がしばしば中世風(決して中世ではない)異世界を舞台に使ってることに由来するのだけれども最近のファンタジーは永遠に19世紀なのかも知れない。(それは決して19世紀ではない)

辻馬車が行き交い、飛行船が空を行く敗戦後世界のロンドン。極めて19世紀的なモノと20世紀的なモノが、非現実的なバックボーンで融合されてはいる。萌え要素のお約束で当然、切り裂きジャック的な連続殺人鬼が登場する。


原著は2001年刊行だが、ある意味ハガレン的な設定ではあるので、そういうのを見つけてきたエージェントは誉められるべきかと。

魔物自体は目新しくもなんともない。伝統的なお伽話のお化け妖怪を出してその上にラブクラフト的な存在を被せているがそんな構造自体がありきたりではある。(日本的だと言ったら牽強付会だろう)

魔術の描写が隠秘学的なところは気に入った、実にイギリス的だ。

なぜお伽話の怪物が具現化したのか、という設定は面白かったのだけれども、いかんせんクライマックスで説明され(ストーリーの展開には何の関係もない)、語る人物がどう考えてもとんだ小者なので、さっぱり活かされてない。

もうちょっとヒネリが効いたら、もうちょっと面白い作品になったのだろうな。

ただ、心底驚かされたことが一点あって

税込みで1155円もした。高過ぎだ。