ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」11巻

今回から「開戦編」。表紙で解るとおり士官学校時代のシャア・アズナブルガルマ・ザビを軸に戦争へと向かっていくジオン公国の姿を描く。対立を深める地球連邦とジオン両国、そしてある人物の暗躍が、それを激化させる…

いや、シャアなんすけど(笑)

シャアとガルマの奇妙な友情は一種同性愛的なものさえ匂わせるようなタッチで、流石にこれはTVシリーズ放送時には例え描きたくとも描けないだろうなとは思わせる。やはり今風なのである。考えてみればゼータガンダムが世に出る以前の「シャア・アズナブル」という人物は別に人類がどうこうなんて思想は持っちゃいなかったような気もするし*1、「亡国の王子が奸臣を討つ為に名を捨て仮面を纏ってかつての母国に潜入する」というのはまあ、大時代的でロマンチックな話ではあるのだ。その点スターウォーズの旧三部作が実に古くさい(伝統的な)物語テンプレートで出来上がっていることと、似ているのかも知れない。

「この裁きの時代に」というのは8巻ジャブロー編でのシャアの台詞で、それを読んだ時には成る程人口が半減して後がない世界(キャラクターは自分たちの世界に「続編」があるなどとは夢にも思わない)ならば納得だと思ったものだが、今回11巻を読んでふと「裁く者は誰なのだろう」と気になる。

果たしてキャスバル・レム・ダイクンジオン公国の勝利を望んでいたのだろうか?

今回の見所。

  1. げんしけんの大野さんが泣いて喜びそうなデギン・ザビの好々爺ぶり
  2. 恐ろしい形相でプロポーズするドズル・ザビ*2
  3. 初めて例の仮面を被るシャア・アズナブルギャグにしか見えんぞ。

*1:富野由悠季の小説版ではどうだったか、ちと思い出せない

*2:お相手は成る程ゼナなのだが「ゼナ・カーン」ではない。