【ミリタリー選書13】イタリア軍入門 1939~1945 (第二次大戦を駆け抜けたローマ帝国の末裔たち)
- 作者: 吉川和篤,山野治夫
- 出版社/メーカー: イカロス出版
- 発売日: 2006/03/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第二次世界大戦に於ける「イタリア軍」という存在は、本邦ではなにかお笑い集団や足手まといな連中のように取り上げられることが多い。成るほどそういう要素もなくはないのだが、では何故そのような軍隊に甘んじざるを得なかったのか。イタリア軍・イタリア戦線を扱った書籍がほとんど刊行されていない*1本書は極めて貴重なイタリア軍の「入門書」である。そんなものはいままで聞いた例しがない。
内容はちょっと驚かされるぐらい網羅的で、全体の戦歴、陸海空三軍の主要兵器・編制、さらには兵士の日常生活にまで及んでいる。これがドイツ軍関係ならいやと言うほど出版点数が多く、その割りには焦点が凝縮されすぎてるきらいがあって一冊でなにもかもわかると言うことは少ない。けだし労作である。
特に目を引いたのは軍装関係の写真で、ファッショナブルなイタリア軍制服に身を包んだ軍人のポートレイトはまるでアニメの軍隊みたいで(笑)
笑うと言えば1942年に行われた伊−日間連絡飛行の偉業を称えた当時の絵葉書が収録されているのだが、ここに描かれた日本及び日本人の姿がその、すげー笑える。三国同盟ってなんか間違ってる。
ただひとつ気になった箇所もあって、サハリアーナAS42/43を「ジープ」と言い切ってしまうのはどうかなと。確かにイタリア版ジープと言えないこともないが*2・・・その辺り、わかりやすさを求めた故のことだろうか。
巻末には参考書籍が載せられているのだが、これが全部洋書で流石に読み進めようという気には、ちょっと(汗)第二次世界大戦に参戦して初めて公布された命令が「発砲禁止命令」だったり全戦線に渡って「守勢」だったり、「自動車化可能師団」*3とかユニークなトピックにはことかかないイタリア軍、もっと知られてほしいものである*4
で、手元にあったイタリア軍関係の和書を紹介してみる
・「第二次大戦イタリア軍用車輌」
http://www.hlj.com/product/GAL13502-08
ガリレオ出版「グランドパワー」誌別冊。amazonでの扱いが無く、紹介先でも品切れ状態であるがWW2のイタリア軍戦車・自走砲などを紹介したカタログ的な内容。とくにセモベンテ自走砲シリーズにはユニークなものが多い。
・「第2次大戦歩兵小火器」
- 作者: ジョンウィークス
- 出版社/メーカー: 並木書房
- 発売日: 2001/11/25
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こちらは特にイタリア軍専門ではないが、WW2当時の列強諸国(独露英米日仏伊)が使用した銃器の解説本。原著者はイギリス人で文章の端々にユーモアやウイットが漂う。翻訳者は銃器研究家として著名な床井雅美で、掲載写真も訳者の持つ膨大な資料から収録されている。イタリア軍の銃器ってホントにひどそうで愕然とし、しかる後に笑う。