ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ピーター・アンティル「ベルリンの戦い」

ベルリンの戦い1945 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ―世界の戦場イラストレイテッド)

ベルリンの戦い1945 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ―世界の戦場イラストレイテッド)

入手しました。

とりあえず表紙写真の「帝国議事堂前の88ミリ砲」萌え。これで一本書きたかったんだよな・・・

おそらくこの本のもっとも高い利用価値は「ヒトラー〜最後の12日間〜」asin:B000AC2V5K読本だと思います。あの映画を見てもう少し理解を深めたいと思った層にはぴったりかと。

第二次世界大戦、欧州戦線の末尾を飾る「ベルリンの戦い」を時系列にそって解説しています。現代に於ける市街戦の様相というものを、多くの写真と共に理解し納得できるものかと。

特に「203ミリ榴弾砲による零距離射撃」や「眼前のビルを砲撃するT−34/85」の写真などはなかなかの迫力です。ソ連の記録写真ってヤラセも多いのですが、多分これは違うだろうな〜

写真に加えてCGで描かれた鳥瞰図やちょっとバタくさい(死語)感じの戦争絵画風挿絵なども収録され、戦場の空気を掴みやすい構成になっています。むか〜し読んだ「戦場の歴史」ISBN:4309221203しました。あれ楽しかったなぁ
あと、些細なことですけれども巻頭に「兵科記号」の解説が載っていて◎。これって大抵の本では読者が知ってることを前提にしているフシがあるので、こういう配慮は有難いです。いや、忘れるし。

ベルリン戦、と言うとどうしても焦点はヒトラー個人、総統地下壕の人々に当たることが多いのですが、本書ではむしろ防空壕の外にいた人たち、特にドイツ側の将軍・元帥達の行動がよく記述されています。ナチスドイツ崩壊というカタストロフの中にあっても縦割り行政だったのね・・・
ハインリーチ上級大将ファン、という方が多いのにもうなずけたり。

惜しむらくは一連の大日本絵画刊行オスプレイシリーズのウリである、膨大且つ濃ゆい「訳注」が全くないこと、でしょうか。まー翻訳にあたった三貴雅智氏はイギリス関係のひとなんで仕方ないかも、知れないのですけど。