ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

東郷隆「銃士伝」

銃士伝 (講談社文庫)

銃士伝 (講談社文庫)

実は読んでいないのだが、書店で見かけたので紹介してみる。というのも以前刊行されてたハードカバーの「本朝銃士伝」を持ってるからで、永らく入手の難しかった一冊がこうして文庫化されるのは喜ばしいことではある。

時代小説と歴史小説の違いはなにかと言われたら、「チャンバラをやるのが時代小説で合戦をやるのが歴史小説」と答えることにしているが*1この本は「銃」をテーマにした短編集である。合戦もあるが時代小説である。定義なんてそんなもんだな…

時代小説が取り扱う「時代」を明治期まで繰り延べたのは山田風太郎の功績なのだそうだが、本書では昭和19年まで扱われている。銃を持った士が戦闘に従事していた時代は明治で止まったりは、しない。初読時それは実に新鮮な驚きで…面白かったな。うん、これは面白いぞ。

ちなみに文庫化に当たって一編追加収録されている。よくある話なのだが旧版持つ身としてはいささかあー、まあ喜ばしいことですハイ。

*1:「NHK大河ドラマの原作になるのが歴史小説で、金曜(今は木曜か)時代劇の原作になるのが時代小説でも可。