ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ロバート・フォールコン「ナイトハンター」シリーズ

ナイトハンター〈1〉忍び寄る影 (創元ノヴェルズ)
ナイトハンター〈2〉呪われた護符 (創元ノヴェルズ)

ナイトハンター〈3〉悪霊たちの舞い (創元ノヴェルズ)

ナイトハンター〈3〉悪霊たちの舞い (創元ノヴェルズ)

ナイトハンター〈4〉暗黒の神殿 (創元ノヴェルズ)
ナイトハンター〈5〉月光の魔女 (創元ノヴェルズ)
ナイトハンター〈6〉目醒めの迷宮 (創元ノヴエルズ)

やはり高校生の頃読み込んで、今では絶版のもの。全六巻と長いので復刻は望み薄か…どれも書影が無いのでタイトル表示にしてみたんだけど、なぜか3巻だけ見た目の変更が出来ない。アラクネーのしわざだ!

一時期地味に盛り上がってその後終息し、いまではすっかり死語になってしまった感のある「モダンホラー」と呼ばれていた現代怪奇小説の代表作(だと思う)。1980年代のイギリスを舞台に謎の秘密結社*1アラクネーによって妻子を拉致されたダン・ブレィディの復讐が始まる!などと書くとノリノリっぽいし刊行当時も「アクション・ホラー大作」のように紹介されてた気がするが、実態はものすごく地味な話だったりする。

魔術心霊の類は大勢登場し暴れ周りバタバタ人死にが出るのだけれど、個々の扱いが非常に地味な描き方をされている。それが良い。主人公が年齢30代だったりなんかその、「大人な話」なのかな?訳文の微妙な固さも相まっているかとは思うが。解説陣は異様に豪華で*2それぞれ自分のフィールドからの考察が楽しいところ。英国心霊小説の伝統と儀式魔術の知識、加えて(当時流行していたらしいのだが)世界各地の土俗宗教・土着信仰がシームレスに混ぜあわされ、混沌とした伝奇小説を形作る…とでも言えば良いか。個人的にアメリカ・インディアンの精霊がイギリスに上陸して暴れまわる第三巻「悪霊たちの舞い」がイチオシだが、何しろ人間に憑依した上で大西洋を歩いて渡ってくる程度には地味だ(笑)

マジカルな事象の扱いが地味であるとはいえ、いや逆に地味だからこそなのだけれど、在りそうな話にはなっている気がする。ほんの僅かに認識が異なる、それだけのささいな違いが、しかし埋められ得ないような、そんな話。主人公の人物造形など問題はあると思うが*3、「焦点」を家族に据えるとこうなるのかな?

しかしブレイディ君奥さんさらわれて生死不明ってのにほいほい女性キャラとその…致してしまうのはやはりなんと言うか…大人じゃんww

*1:謎の無い秘密結社など有りはしないというのは野暮なツッコミだ

*2:夢枕獏・菊池秀行・友成純一・朝松健・竹河聖

*3:やたら他力本願な割には自己中心的で、協力者がバタバタ死んだり廃人になってもあんまり悩んだりしない