ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

小松左京「エスパイ」

エスパイ (ハルキ文庫)

エスパイ (ハルキ文庫)

エスパーのスパイだから「エスパイ」。藤岡弘主演の映画版*1もあるけどどっちがメジャーなんだろう?自分は映画の存在から知って、ようやく原作を読んだ。ちなみに映画のほうは未見だw

リンクを挿入したのはハルキ文庫版だが自分が読んだのは昭和52年初版刊行になってる角川文庫版、生頼範義の濃ゆいイラストが表紙画で、初出はもっと前で昭和39年に実業之日本社漫画サンデー」連載だっていうからざっと40年ほど前かうわ古いな〜。当時の高度成長サラリーマン向け娯楽スパイアクションなんで艶事シーンが頻発する。「エッチなスパイ」だからエスパイなのダ!!←ギャグまで昭和じみている

当時、60年代から俯瞰された未来観というのは面白かった。はっきり記されていないが架空の70〜80年代あたりが舞台でスペインが閉鎖的ファシズム国家だったりする。冷戦は当然続いていて、フランスがEEC*2内で先鋭化していたりソ連*3が水面下でデタントを望んでたりする。まーなにがビックリしたってユージノサハリンスク(旧豊原)コルサコフ(旧大泊)など今では却って判り難い地名表記があって驚いた。現行版では修正されてるかもなー。

飛行中の旅客機に瞬間移動(テレポーテイション)されてきた時限爆弾を念動力(サイコキネシス)だけで解体するとゆー今では誰もできそうもないベタベタな「超能力」が懐かしく感じられるちょっと変わったスパイアクションだなーと読んでいたら最終的には「幼年期の終わり」みたいな話になってそれはそれで面白かったな。

あと、レーザーライフルの銃身をプリズムでコの字状に屈折させて上階層の部屋を狙撃するってシーンがあってちょっと笑う。いや間違ってないだろうけれど絵的にマヌケっぽくてさw

*1:asin:B0002HV3LG

*2:昔そーゆー団体があったんですよ

*3:昔そーゆー国家があったんですよ