ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

建築のけの字も知らない人間が「メタボリズムの未来都市展」を見てくる

公式。

紀元二千六百年記念のモニュメント案とか満州開拓村の都市開発なんてところから話がはじまってるんで丹下健三ヒトラーの尻尾に見えて仕方が無い(笑)都市計画って全体主義に始まるものではないだろうけれど、道路建設とか強制収容とか抜きに語れないとも思う。海上都市が指向されるのも自然な成り行きだろうか。

全体としてSFじみて見えるのはなんでだろうな。「ウルトラセブン」の美術が同時代的なんだなーというのは印象論だけではなくて、「ウルトラ警備隊西へ」に登場した京都国際会館の模型がまさに会場内に展示されてて唸らされるわけではある。ペガッサ・シティはメタボリズム建築かも知れないね。

戦後の復興からはじまる未来へのパースペクティブな視線が完成するのが大阪万博ということなのかな。オイルショックを経てバブル経済を迎えた日本にあったのは「未来は、いま」である事実そのもので、そういうバブル建築の最後の到達点である六本木ヒルズの展望台から「東京」という世界でも例をみないほどに巨大な無計画都市を眺めた上でこの都市建築展覧会を見物出来たのは非常に快楽的である。

マンガで言うと士朗正宗は盛んに未来建築(とその思想)を表現しているけれど映像、例えばアニメの分野ではどうなんだろう?富野由悠季は「機動戦士ガンダム」でオニールの島三号型スペースコロニーを映像として見せてくれたけど*1、その先を見据えた未来像ってガンダムシリーズにはないわな。ダブルオーの花型宇宙港は違うよなーうーむ。

すごく面白かったんだけど唯一不満があって、いくらなんでも図録の値段が高すぎる。出品された建築模型の多くは近年に作成された、歴史的な価値はないものだったりするのになあ。

*1:まずコロニーの破壊と墜落から見せた手腕は30年経っても流石だと思う