ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

鏡明「二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分」

二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分

二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分

小洒落たタイトルにアート風味の書影ですが、中身は1979年から2001年3月までの「本の雑誌」に掲載されたコラムのまとめなので「出てきた」もなにも最後の一章を除いては全部二十世紀の産物(w

そんで最初に白状しちゃいますと「本の雑誌」は毎号目を通していますが、実は本連載はほとんど読んでません。池澤春菜嬢のコラムは真っ先に読んでいるのにッ><

おかげですごく新鮮な気持ちで80年代から20世紀末のSF小説とそれをとりまく状況を読めた…かなあ。著者の本業はCM製作で、仕事の関係上いろいろ世界を――主に、アメリカを――周っていて、当地のパルプフィクションやウエスタンやアメコミ等、わりと俗っぽいモノを含めて原書で紹介してたりする。いくつかはその後邦訳が出たりバカ売れしたものがあり、日本に入ってこなかったものもあり、で。「ウォッチメン」を1988年には紹介してたんですねえ…

「SFクズ論争」とか「SF冬の時代」とかやってた時代の空気が伝わってきたりもします。そういうものがあった上での今、現状のSF界を鑑みるのは面白い行為かも知れないなあ。

サイバーパンク・ムーヴメントを日本に広めた立役者、黒丸尚さんって亡くなった時41歳か… 早逝過ぎだよな、やっぱり…


ところで本書内容の半分近くを占めるロック・ミュージックに関する言及は自分にとっては埒外も甚だしく、サパーリわかりませんッ><


ああ、そうそう最近ハヤカワが盛んに出してる狭義の「ミリタリーSF」って別にブームでも何でもなく、アメリカじゃずーっとまえから大量生産されてて、単にこれまで邦訳されてなかっただけなのね。それを知れたのはよかった。でも、ハヤカワはなんであんなのを盛んに出してるんだろうねー