ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ハリー・ベイツ他「地球の静止する日」

地球の静止する日 (角川文庫)

地球の静止する日 (角川文庫)

キアヌ・リーブス主演映画の絡みで出されたSF映画/TVドラマの原作となったSF小説を集めたアンソロジー。表題作については以前に創元SF文庫版asin:4488715028で既読だけれど他の作品は全て異なります。ジェイソン・ステイサム主演映画「デスレース」(「デスレース2000年」は面白かったな、むかしはよくテレ東でやってた)の原作も入っているけどまーどちらもずいぶん地味な短篇小説で、映画製作スタッフは頑張ったんだな…という印象。創元で読んだ時は多分感想書くほどでもないなーと、思ったはずだ…

その2作品以外は「トワイライトゾーン」と「アウターリミッツ」で映像化されたのを集めて…というよくあるスタイルです。本邦初訳も多くてリン・A・ヴェルナブル「廃墟」という作品が面白かった。この作者ってこの作品ひとつきりで消えちゃったとかで、そういうひとはなかなか嫌いになれませんね(^^;

巻末にあるフレドリック・ブラウン「闘技場(アリーナ)」はいわゆる代闘士ものの原点みたいな作品で、これまで名前だけしか知らなかった一本。実際読んでみると思いのほか知恵を巡らせ頭を使うお話で、なかなか面白い。そして藤子・F・不二雄の「ひとりぼっちの宇宙戦争」に思いを馳せざるを得ないのであります…


でその「闘技場」について。あとがきではこの作品だけ映像化されていない、実はアウターリミッツのライターが無許可で盗用して裁判沙汰になった旨が解説されています。ふむふむ。そして驚愕することに

のちに≪スター・トレック 宇宙大作戦≫では正式に権利を獲得して「怪獣ゴーンとの対決」としてドラマ化されている。


まさかΣ(゚д゚lll)


この「宇宙一なさけない対決」がフレドリック・ブラウン原作だったとはつゆ知らずOTL 原作は短いですけれど、登場するエイリアンはこんな二足歩行トカゲじゃなくもっと異質で、ある種の知的興奮を覚えさせるものです。スタトレのスタッフはもっと頑張るべきでした…


読み終えて思うに、今でもアメリカ映画界が昔の作品を「原作」にして全然違う映画を作っちゃうのはリスペクトとかベースドオンとかじゃなくて単に訴訟対策の問題なんだなーと、あらためて…