ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

氷菓を評価する(5話)

結局前回は見てません。大体の所はニコ動の総統閣下動画で知りましたけれど、ストーリー展開や演出面はともかく千反田邸の描写は見たかったなあ。

で、謎解き回です。理屈と膏薬のように無節操にどこにでもくっつく推理の正しさを担保するために「実は当事者がいまして…」と一種のデウス・エクス・マキナとして出てくる糸魚川養子教諭の唐突さは原作がそうだからしょうがないんだけど、一応原作もアニメも伏線は引いてんだよな。「当時を知る先生は職員室にはいらっしゃいませんでした」けれども司書室にはいましたってのがどこまでギリギリかは…。

で、その糸魚川先生の人生が一瞬にして45年前に巻き戻されるシーンはアニメならではの手法で◎。なんだか今敏監督の「千年女優」みたいでテクニックは伝承されるものですね。そういえば「千年女優」も小山茉美でした。ワザとか。

氷菓」のタイトルに隠された謎を開陳する場面では糸魚川先生の表情が写らない。原作では彼女は意味を判っていて、その上で知らないふりをしてるんではないか…の、ようなことを奉太郎が推測するんだけれど、アニメでも上手く処理されていたと思います。最も原作未読の方には不親切と言えば不親切か。なんだかんだ言って糸魚川先生もまた周りを取り囲んでいるウサギ達の側の立場なんで、そのあたりがこの「薔薇色」やら「エネルギー」やらの愚かさと汚さを描いた作品の、ダークなところかな。

やっぱりね、英語タイトルは現行の「The niece of time」(時の姪)よりも以前の版の「You can't escape」(あなたは逃れられない)の方が良かったなあと思う*1。関谷純は逃げられなかったし、折木奉太郎もまた逃げられない。誰から?

結局夏休み前に「氷菓」事件は解決しちゃったんで浴衣回の前に「大罪を犯す」が挿入される模様です。大天使チタンダエル回(公式な意味で)なので総統閣下も相当カッカされることでしょう。

*1:スニーカー文庫で初版当時は「HYOUKA」だったそうな。意味ねぇ(w