ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

犬塚則久「恐竜ホネホネ学」

恐竜ホネホネ学 (NHKブックス)

恐竜ホネホネ学 (NHKブックス)

ユーモラスなタイトルと適度に読みやすそうなページ数・装丁の割に中身は実に硬派な、恐竜の復元に関する本。「恐竜」というより「骨学」の本と言った方が正しいような。正直書かれた内容の全てを理解し得たとは到底言えないけれど、こと恐竜をテーマにすると客受けを狙って派手目なエピソードを喧伝するような媒体が多い中、この種のアカデミックさ・骨太さは良いと思う。骨格の本だしね!(ドヤ顔)

こうした復元図や、博物館に展示されている復元骨格や生体復元図などをみる際に注意しなければならないのは、芸術と科学とのちがいである。例えばマーク・ハレットのような一流の復元画家になると、恐竜の骨格図にしても生体復元画にしても、絵としての完成度が高く、細部までリアルに描かれているために、それこそが化石動物の真の姿であると思い込みやすい。しかし復元画にとって重要なのは、見た目の美しさよりも復元のさいの科学的根拠である。

美しい恐竜の絵画はロマンを掻き立ててくれるものだけれど、恐竜ファンと研究者は違うということでしょう。「古生物の分類では新たな化石が見つかったり分析が進んだりすれば、名前や分類名が変わることはよくあるので、あまりこだわることはない。」とかバッサリ書いてあったりして、なるほどなあと納得します。