ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

エドモンド・ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

以前紹介したもの*1の文庫版。基本的に同一内容だがボーナス・トラック的な意味で3つの作品が追加されている。

ひとつは表題作と同じ「フェッセンデンの宇宙」、1950年の改稿版。元から収録されている1937年の初稿版と比べて読めば、作者ハミルトンが何を引き何を足したのか、何を伝えようとしたのかが見えてくるはず…だけど、個人的には初稿版のほうがいいなあ(^^;

「漂流者」はエドガー・アラン・ポオを主人公に並行宇宙と転生をテーマにした晩年の作品。実在の人物を扱っているのは非常に珍しい気がする(いや「反対進化」も「眠れる人の島」も読んじゃいないけどさー)

「世界の外のはたごや」は作者本人もベストに推したことがある逸品で、新規収録3作のなかではこれがいちばん良かった。ある偉大な政治家が荒廃した20世紀の地球と人類を救うため、過去や未来の歴史上の偉人たちが集う異次元・時間外的な特殊空間に助けを求めに行くと…、というようなお話。単純なハッピーエンドにはならないんだけれど、希望の持てる終わり方です。

共感や感情移入が読書の全てではないけれど、「情に訴える」ことは有効な手法だなと改めて思う。打率が高いと言うべきか。