ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

メアリ・シェリー他「フランケンシュタインの子供」

フランケンシュタインの子供 (角川文庫―角川ホラー文庫)

フランケンシュタインの子供 (角川文庫―角川ホラー文庫)

角川ホラー文庫の初期刊行分には「幽霊狩人カーナッキ」や「ラヴクラフト恐怖の宇宙史」など過去作の復刻を意識したような物がいくつかあって、本書もそのグループに属するのかなあ。アンソロジーとしては新規編纂だけれども収録されている作品の多くは1970年代の訳を中心に既刊からの再録分です。定本ラヴクラフト全集から「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」が入っていたり必ずしも絶版復刻ってわけじゃなさそうだけれど、カート・ヴォネガット・ジュニア「不屈の精神」(池澤夏樹訳)は現在どこかで読めるのかな?「モンキー・ハウスにようこそ」には載ってなかった。

フランケン・シュタインテーマということで人造人間や近代ヨーロッパ的なオートマトン、伝奇的なゾンビに未来社会のロボットとヒトの創るヒトノヨウナモノが主軸な短編がいろいろ。これまで「白鯨」しか知らず当然のように読んだこともないハーマン・メルヴィルの「鐘塔」は一見合理的な解決をみるようで超自然的な要素も否定し得ない、境界線上みたいな良さがあり、レスター・デル・リイ(レイって言っちゃうよな、やっぱり)の「いとしのヘレン」は市販商品の家事ロボットに人間のような感情を組みこんだらうっかり恋心が芽生えて…と、現在の日本でも山ほど量産されそうな話なんだけど、作った方の科学者がロボットからの恋愛を全否定して逃げ回る、古い意味でモラリスティックな展開が興味深い。物語の決着や語り手の視点は現在でも十分通じる、いい話ですねこれ。

コメディやブラックユーモア風な作品も多く必ずしも「ホラー」ではないんだけれど、なかなか面白い一冊でした。