ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「ポール・デルヴォー展 夢をめぐる旅」

あっとまーく府中市美術館。はじめて行ったけど府中市はよいハコモノを持っていますね。さすがは東芝&競馬場マネーですね(笑)キャッチコピーは「夢にデルヴォー」で、先に広島のほうでやっていた展覧会の巡回展。若いころから晩年までの画風の変遷を追った、まとまりの良い作品展でした。

印象派時期には特に見るべきものが無いと思うのはさすがに傲慢かなあ。一点、「リュクサンブール駅」だけは未完で終わっているので製作途中の下書きと彩色された画面とがひとつのキャンバス上にあって面白かったのだが。

やっぱシュルレアリスムの方が面白いなーと、思う(シュルレアリスム運動に影響を受けたとはいえ、デルヴォー本人は自分でシュルレアリストとは名乗ってないらしいのだれど)「人物」+「大道具」+「背景」でそれぞれのパースペクティブが独立している画面には、ああセルアニメやコンピュータAVGの画面に見られるレイヤー構造って直接的ではないにしろシュルレアリズム絵画の影響下・容認の元に成り立ってるのかなと思ったりだ。いやすいませんねそっち方面ばかりきになりましてね。

会場内で一番お気に入りなのは「行列」という、おっぱいむき出しの女性たちがぞろぞろと山?から下りてくる一枚ってそれどんな夢だよ!と突っ込まざるを得ない作品(w 女性たちは皆同じ顔・同じ髪型をしていておおハンコ絵文化だ!と思わなくもないけれど、すぐ隣に展示されてる奥さん描いた習作がその顔と髪型でどんだけ奥さん好きなんだよ!ラヴい夢だな!!な一枚でもあり…

ポスターなどのキービジュアルになっている「夜明け」って1944年の作品なんですねえ。同年に故国ベルギーはブリュッセルで回顧展って戦時中じゃん!12月にはバルジの戦いですよ!?と、それはモノスゴク気になったが…

観覧しながら舞台劇もレイヤー構造だよなーと思ったら目にしていた作品がまさに舞台美術の為の習作だったり、自分の感受性をそれなりに信頼しても良いのかもしれない(笑)

図録はね、ちょっといただけない。横に長い構図の作品を見開きで収録していやがる。中綴じならばまだしも普通に背中のある装丁でこれだと画面の真ん中に綴じ線入って、DTP画面上じゃ綺麗に見えるんだろうなーとプンスカ。

と、そんなです。モデルを使ったデッサンでは写実的に描いても、キャンバス上ではどこか記号的な人物を配してるのは興味深い。パースが違っても遠近感が狂っていても、キャンバスの上では何もかもが画一的に配されるのだな…