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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

大森望・日下三蔵 編「年刊日本SF傑作選 結晶銀河」

結晶銀河 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

結晶銀河 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

創元SF文庫年刊日本SF傑作選、2010年版。これまで手を出さずにいたシリーズだけど、月村了衛の機龍警察シリーズが収録されていたので入門的に…と、実際読んでみたら「機龍警察・火宅」は普通の警察小説だったんでむしろ混乱した(苦笑)それ以外ではいくつか既読の作品はあったけれどほとんどは初読、書き手自体はじめて読む人も多くて入門としては十二分に満足できる一冊でした。眉村卓がいまなお旺盛な執筆活動を続けていることにも驚かされ、谷甲州はやはり渋いSFを書くなと再認識することもあり。

本書の収録作では小川一水「アリスマ王の愛した魔物」と津原泰水「五色の船」がお気に入り。特に後者は太平洋戦争中と思しき時代を舞台に「くだん」にまつわる伝奇めいた話…とくれば小松左京の「くだんのはは」を思わずにはいられない。が、最後まで読み進めてみればそれとはまったく異なるSF…のようでいて、且つ「くだんのはは」も本当のようなウソを書いた話だったよなーとあらためて思わされる。実に傑作です。フリーキーなテーマって個人的には苦手なんだけれど、それを微塵も感じさせない美しいラスト。


あとがきにも引用される「日本の短編SFは今がまさに黄金時代かもしれない」って言葉はたぶんその通りで、そしてこの次の年は金だの銀だの言ってられない状況になるのだろうな。

今日のタイミングでこの一冊を読み終えたのは、きっとよいことなんだろう。