ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

コナン・ドイル「ドイル傑作集 III 恐怖編」

コナン・ドイルといえばまずはやっぱりホームズの人で、ではその次に何が来るかと聞かれたら(チャレンジャー教授とかナイジェル卿とかいろいろあるとか思いますが)、個人的には「妖精写真にダマされちゃった人」なんであります。ホームズと妖精写真、この二つの要素はなんとなく対立項目に挙げられそうではあるけれど、実際のところホームズって言うほど論理的ではないし、本格推理でもないように思う*1。とはいえ、それらを結ぶなにかつながりのようなものが見えないかなーと、そんな気持ちで読んでみました。

結論から言うとありきたりな小品で、あまり知られてないのも無理ないかな、と思う。いまだ高々度や成層圏が人類にとって未知の領域であった時代に書かれた航空機ホラー「大空の恐怖」は時代性や先進性を考えれば一歩抜きん出た存在と言えるかも知れません。まあ恐怖小説にありがちなコテコテの「手記文学」を、ドイル先生もやってたんだーという驚きの方が強かったんだけどな。超自然的な怪物ネタ有り、人間関係のもつれを巡った因果応報な(?)復讐譚もありでホームズしか知らない人にはこんなのも書く人なんですよと教えるような意味合いもあるかな。

ホームズ物で希にある一種のグロテスクさも、そんなに特異なものではないんだなーと、それは強く思った。「ブラジル猫」なんかはポー的だと言ったら怒られるかな(弱気)

*1:本格推理と本格SFはいったいなにが本格的なのか、このトシになってもさっぱり見当が付かない