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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョン・スコルジー「アンドロイドの夢の羊」

アンドロイドの夢の羊 (ハヤカワ文庫SF)

アンドロイドの夢の羊 (ハヤカワ文庫SF)

「老人と宇宙」シリーズ作者による、タイトルからも察せられるとおりP.K.ディックの著名な作品にオマージュを捧げた作品。ひとことで言うと

バカSFだこれ Σ (゚Д゚;)

※褒め言葉です

なにしろ作品の冒頭が「化学的に合成されたオナラを使って臭覚に敏感な異星人の外交官を謀殺する」エピソードから始まるんである。ディック的どころかカート・ヴォネガットいやキルゴア・トラウト的なナンセンス感に溢れたなにかだこれは。電気羊の代わりに生きた動物を求めたオリジナルと違って本作で探し求められるのは遺伝子操作された羊なのだけれど、こともあろうに登場するのは人間女性(ただし18%羊)なんてシロモノである。すわケモナーか!と思えば残念ながらそうではないんだけれど・・・

例によってユーモアとウイットに富んだ語り口はリーダビリティが高い。ストーリー展開としては一本調子の逃亡追跡ものなんだけど要所要所で挿入されるいわば「小話」が、個々のキャラクターや組織・異星人の社会慣習などを楽しくふくらませて物語を補強している、そういう構成。三文SF作家の詐欺めいた手法によって設立された強力な宗教団体やコメディ役者の集まりみたいな地球政府(当然のようにワシントンに在する)や如何にもお話しのつくりのために設定された無茶な社会慣習をもつ異星人(複数種族が登場する)、そういうお馬鹿なガジェットが苦手な方にはオススメしないがむしろ大好物ですってひとには強力にプッシュする。ゴン太くんモリゾー、ムックを乱暴にしたみたいな巨大な毛玉の異星人、ナーグ族のタックが長い探求の果てに地球で出会った宗教的法悦を共にし得る友人、アーチー・マクミランくんを食べてしまう様には涙を禁じ得ない(ノ∀`)


主人公のクリークがほとんど完璧超人だったり、平凡な書き手であれば大失敗しそうな派手な設定を上手く纏めてるのは流石で、やはりユーモアとウイットそしてある種のバカっぽさは大事ですね。


というようにディック的要素を期待するとワーストコンタクトしそうな作品なので、その点では注意が必要でしょう。強いて言えばシュワルツェネッガー主演版の「トータル・リコール」に近いかなあ