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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

アレックス・アーバイン「パシフィック・リム」

パシフィック・リム (角川文庫)

パシフィック・リム (角川文庫)

パシリム三回目は活字で読むことにしました(笑)映画作品のノベライズを読むのはなんだか久しぶりな気がするけれど、現在でもなお「ノベライゼーション」という行為がアメリカの出版市場に存在してるのは良いことですね。

展開は概ね原作映画と同じだけれど、要所要所で解説や設定が追加されている典型的なノベライズです。「文書」や「ニュースレポート」の形で随時挿入されているので本文が過度に説明口調になるのは回避されているけれど、クライマックスにまでネジ込まれてくるのはやり過ぎな観もありでなかなか難しいのよね。

モリ・マコの家族が種子島在住の「刀鍛冶」一家だったりペントコスト司令官が編み出したイェーガーの操縦テクニックが「イェーガー武士道」と呼ばれていたり、小説独自に日本趣味を取り入れる模索がされてこれは好印象です。映画では一部のキャストがここぞと言うタイミングで日本語の台詞を発するけれど、おそらくそれは活字上では反映してないのだろうな*1

一部カイジュウのネーミングが映画とは違っていたり劇中未登場のイェーガーについても何機か言及されていたりと、細かな点で映像とは異なる箇所もいくつかある。これら設定の齟齬についてはパシフィック・リムwikiというのもあるけれど、日本では限定3000部出版で即座に完売したビジュアルガイドasin:4796871500を参照するべきなのでしょう。*2現在では転売ヤーの小遣い稼ぎのネタにされているので、なにか普及版のようなのが出せないものでしょうかねえ。

香港がいちばんのクライマックスで最終作戦が蛇足なのは映画と変わらず、これは仕方がないところか。設定的に最も異なるのが、映画ではカイジュウは恐竜時代に一度地球に来訪し、当時の自然環境と合致せずに撤退したって語られていたものが、このノベライズ版では「恐竜はカイジュウの初期形態そのものである」という点に変わっている。ストーリーにはなんの影響も及ばさない小さな設定変更は冷静に考えるとこの物語、この作品世界の存在基盤を大きく揺るがすものなんだけれど…

どうも執筆者自身がそのことに気がついてないっぽいんだよな(w

まあ、おおむねそんなところです。それほど映画の補完になるもんでもなし、大スクリーンで映像見た方が楽しいものではありますな。

そうそう、ノベライズ版はラストシーンまで読んでも「俺の靴はどこだ」が無いんで、どーやらあのひとは本当に死んだモヨウです(w;

*1:少なくとも翻訳された文章にそのニュアンスはない

*2:ニコニコ大百科の項目が異様に充実してたりする http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%A0