- 作者: 月村了衛
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: 文庫
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んー、なんつーかいろいろヤバい。開始40ページあたりで「うぬは亜空間を使う忍びか」なんて書いてあってヤバい。ありがちなRPG風異世界にニンジャって組み合わせも大概だけど、亡国の王女王子を守って敵味方のニンジャ軍団が秘術の限りを尽くして云々って流れも大概である。正直このあたりは山田風太郎と横山光輝のふたりが全てやり尽くして去った感が強いので、ひとつひとつの機忍法が駆使される度にSF的な解説をしてくれる機忍のみなさんマジ親切とかいささか的外れな感想が湧いてくるのもニンジャなら仕方ない。
この異世界の「機忍」なる存在、機械とはあまり関係が無さそうなんだけど(なかには巨大メカ怪獣を操るニンジャも出てくるけれど)、敵も味方も全員さらに別の異世界から記憶を封じられてやってきた人間でその大元の世界というのがどうも学園や日常らしいがむしろ「学園物」「日常物」にしか見えなくていろいろヤバい。さすが「NOIR」の月村了衛先生や。
この本「機龍警察」の第一巻についで発表されたもので、刊行当時はどちらもまだパイロット版的な意味合いがあったのではないだろうか。「機龍警察」がシリーズ化する一方でこちらは単発に止まったんだけど、もしもこの「機忍兵零牙」のシリーズ化が成されていれば角川のニンジャスレイヤーとかち合ったろうから、結果としては単発で終わって良かったということかな。
デウスエクスマキナに文句付けても仕方ないんだけど、出鱈目な強さを誇り一国を簡単に崩壊せしめる無限王朝の手から逃げ延びて北方高地民族の支配領地に辿り着けばセーフってどんだけ強いんだその高地民族とやらは(笑)