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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

マーヴィン・ピーク「死の舞踏」

死の舞踏 (創元推理文庫)

死の舞踏 (創元推理文庫)

創元推理文庫のピーク作品の中ではこれだけ読んでなかった、今回のゴーメンガースト復刊からも漏れている一冊。五つの作品からなる短編集でそれぞれ独立した作品だけれど、「闇の中の少年」だけはいちおうゴーメンガースト三部作と設定を共有するというかタイタスらしき少年を主人公としたもの。どれもそれなりにグロテスクで、幻想小説と言うよりは怪奇小説として扱ったほうがよいのかも知れない。表題作にもなっている「死の舞踏」などは英国怪奇小説の伝統に則ったかのようなゴーストもの且つハッピーエンドに持って行ってもいいような恋愛小説なのだけれど、結末は陰惨なものなのだな…

収録作の中では「海賊船長スローターボード氏」がいちばんヘンでよかった。変な人間がゴロゴロ集まり得体の知れない活動をするのを書かせると筆が進むようですねこのひとは。それぞれの作品の冒頭には執筆時の状況などを解説する短文が掲載され、作品や作者への理解を深めてくれます。翻訳者高木国寿は長年ピークを研究し未亡人とも交流があった人で、特に一連のピーク作品を解題する鍵となる<美の司祭としての絶対者>と<逃亡する若者>について言及されたあとがきは必見で、今回の三部作復刊でこの世界に触れたひとでも、是非にもう一歩踏み込んでここまで進むといっそう読解を深めることにもなるでしょう。