ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

森薫「シャーリー」2巻

11年ぶり…とはいえ自分がシャーリー読んだのは2004年の第5版なのできっかり10年ぶりの続巻です。作者の絵柄はずいぶん進歩しましたが、シャーリーは小さいままです。


素晴らしいことです。


2006年から2014年にかけて不定期に発表された八本の短編が掲載。いつもかわらずご主人のクランリーさんとメイドのシャーリーの日常生活をほっこり描いたものです。こういうのを「日常マンガ」と呼ばないのはなぜか。聞くまでもないか。作品舞台が20世紀初頭のロンドンだとは前の巻では明示されていなかったかと思いますが、歴史物でも幻想物でもなくメイド物の、これはそういうマンガである。たぶんこの世界線では第一次世界大戦は起こらない。代わりに「明日のナージャ」の世界が2倍ヒドイ目に遭うといま決めた。

どれも素敵なのですけれど強いて、本当に強いてお気に入りを上げるならば「ハイヒール」の回でしょうか。これがどんなお話かと言うとクランリーさんにお靴の手入れを頼まれたシャーリーがついうっとり履いて踊って転んでちょいと怪我しましたとゆー、ただそれだけの話なのですが


だが、それがよい。


例によってあとがきも(むしろあとがきの方が)いろいろと全開なのですけれど、「ヴィクトリア朝ダンスのレッスンDVD」なんてシロモノが、世の中にはあるのか。まだまだ世界に謎は多いな…

前巻に比べるとシャーリーとクランリーの関係をより濃く深く描いて、「子供の目から見た大人の世界への憧れ」のようなテーマ性が打ち出されているように感じました。それはとてもよいものです。二人でレコードかけてダンスしたり、カフェに立つ「仕事」を見たり、こっそり大人の履き物を合わせてみたり…「ハイヒール」の回も傷めた脚を冷やしながらのこんなモノローグでまとめられています。

もうすこし 大人になったら


ならなくて、いい。