ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ロングイヤー「わが友なる敵」

わが友なる敵 (講談社文庫)

わが友なる敵 (講談社文庫)

その昔「第5惑星」ってSF映画がありまして、その原作。映画公開当時講談社X文庫からノベライズが出ていてそっちは読んだ(非常に面白かった)けれど、原作は未読でした。映画のほうはしばらくしてテレビの洋画劇場で見たんだよなー。人類と「ドラコ星人」が宇宙戦争している世界で、無人の惑星に不時着し、当初は敵対していた二人のパイロットが、自然の猛威の前にやがて助け合い、互いの文化を深く知り、そして・・・というようなお話で、渋いながらもいい映画でした。三船敏郎リー・マービン主演で太平洋戦争での日米兵士のそれをやった「太平洋の地獄」の、いわばパロディなんだと知ったのはずいぶん後になってからだったな。

原作は連作の中短編集で「わが友なる敵」は中核を占めるといってもよい内容。拡張主義に則って版図を広げていく人類社会と異星人との軋轢、変転を様々に描いたものです。話の節々にはそれこそ太平洋戦争の日本人であるとか、征服されたネイティブアメリカンであるとか、アメリカとアメリカの戦争の歴史の影響を色濃く感じますね。「アバター」的というかなんというか。映画も原作もすっかり埋もれて久しいけれど、実はいちばん面白かったのはX文庫のノベライズ版じゃあるまいか。もういちど読みたいなあれ。

<追記>
ノベライズ版は日本のオリジナルじゃなくて映画化に併せて再構成・ボリュームを広げた話だったんだなあ。映画は途中で終わってる感がすごいし原作は短いしでやっぱりX文庫版を探すべきか。無理筋だな・・・