ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー(改訳決定版)」

これまでクラークはそんなに読んでなかったけれど、10代の頃に読んで非常に感銘を受けたハードSFを新装版で読み返してみた。

外宇宙から太陽系に飛来した謎の巨大構造物「ラーマ」内部を探索する、ただそれだけの話なのだけれど、「ただそれだけ」なところが良いのだろうなあ。未知の異星文明に立ち向かう人類の武器が「物理学」の知識だけだってあたりも高校生当時の自分には相当面白かったろうと懐かしく振り返ります。もっとも、高校時代は物理の教師と折り合いが悪くて、そっち方面の勉強は早々に投げ捨ててしまったのだが(藁

地味な展開ながらも、当初「死の空間」とも思われていたラーマ内部に次々と生命(?)が生じていく様はなかなかダイナミックで読み応えのあるものです。反面キャラクター性にはちょっと弱いところがあり、その辺がアシモフハインラインと比べるとクラークってひとが(自分には)合わなかったところなのだろうなあ。

ラーマが何のために太陽系にやってきたのか、それはラストで解き明かされるのだけれど、むしろその事はより大きな謎を暗示し、より大きな世界と宇宙の広がりを読者に想像させてくれる。良いSFです。

だからって名義借りただけの他人が勝手に続編を「創造」しちゃうのは、あんまよくないよなー。