ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

中田耕治 編 オーガスト・ダーレス 他 「恐怖通信」

恐怖通信〈1〉 (河出文庫)

恐怖通信〈1〉 (河出文庫)

たまたま古書店で見つけたもの。ダーレスが筆頭に来ているアンソロジーなのでてっきりアーカムハウスあたりの原書を訳したものかと思ったが、編者あとがきを読む限りでは若手翻訳家(のグループ)に経験を積んでもらうために編まれた本のようで、作品選定は日本側によるものらしい。レイ・ブラッドベリやマレイ(マーレイ)・ラインスターなどSF畑で見る名も多いですね。そのうちのひとりポール・アンダースンの「サラマンダー作戦」は名作「大魔王作戦」の原型になった短編のひとつで、このバージョンが読めるのは結構貴重なことかも知れない。最近じゃ「大魔王作戦」読むのも結構貴重なことかも知れませんけど。

ロバート・F・ヤング(このひともSFの人だなあ)「犠牲の年」は彼にしては非常に珍しくロリがでてこない。

ハロウィンを舞台にした魔女と魔女集会のお話で、ここで対比されるのは派手な遊び女と地味子さん的シチュエイションであろうか、萌えのなんたるかを熟知した偉大な作家であることは間違いがないであろう。いやたぶん、きっとそう。

「恐怖小説」としてはむしろ王道な作品ながらも、このアンソロジーではちょっと異色な立ち位置になってるM・R・ジェームス(ジェイムス)「バラ園」が不思議な存在感ではあり。