- 作者: ブレイククラウチ,Blake Crouch,東野さやか
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/03/07
- メディア: 文庫
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「ツイン・ピークス」というTVドラマがむかしあって、放送当時ちょっとしたブームで話題になったり賛否両論いろいろでした。賛成の側には単に流行りに乗っていた層ではなくて、むしろ否定的な意見が増えてきた中でも頑として揺らがず絶賛していた人達もいて、特に当時ティーンエイジャーでツイン・ピークスを最後まで支持していたようなのはロクな人間に育たなかったろうと信じる。
俺か。
俺だ。
記憶喪失の男がアメリカはアイダホ州(ジャガイモしか無さそうなところだなあ)の片田舎、ウェイワード・パインズで目を覚ますところから始まるこの話、作者のブレイク・クラウチというひとはツイン・ピークスの大ファンで番組が打ち切りで終わったときに、それがあんまり悲しくて自分で第三シーズンを書き始めた(そして挫折した)のが創作活動のきっかけらしい。当時十二歳だって。
十二歳でツインピークスにどハマリしていた人間が書いた小説がつまらないわけないだろ!
※ただし一部の読者層に限る
何を書いてもネタバレになるような作品なので詳しいストーリーは書かないけれど閉鎖的な街といわくありげな住人たちと、繰り返し挿入される主人公のイラク戦争での捕虜体験のPTSDなど、様々な要素が複雑に絡み合って、驚くほどの急展開と意外なところに落着するエンディングと、なんとなく手にとって読んだ本にずいぶん楽しまされました。なにかこう、「してやられた」って感じ。前に読んだ「カンパニー・マン」もそうだったけど*1、最近のハヤカワはNVのレーベルにこっそりSFを紛れ込ませてくるから困りますねい。
そうこれSF小説なのよ。ゼーガペイン好きならたぶん楽しめますよこれ。あとがきによるとTVシリーズ化が決まったそうでM・ナイト・シャマランが監督するんだってさー。
M・ナイト・シャラマンは確かに20年後のデビット・リンチなのかもしれん、これも試練だ。