ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

白善菀「若き将軍の朝鮮戦争」

若き将軍の朝鮮戦争 - 白善ヨップ回顧録

若き将軍の朝鮮戦争 - 白善ヨップ回顧録

朝鮮戦争についてはあまり知識が無くて、いろんなところで勧められていた本を図書館でたまたま見つけて読んでみた。いまは文庫版もあるのね。asin:4794219660
朝鮮戦争と聞いてまず思い浮かぶのは、世界史の教科書で見た前線の激しい移動で、たった3年強でよくもまああそこまで変化するもんだなと思わされたものですが、いまでも教科書には載っているんですかねアレ?

その乱高下する戦線の渦中にあった人物による、生々しい記録。ただ戦争だけでなく開戦前の状況、戦後の復興にまで筆は及んでいて、読みやすいボリュームながらも多岐にわたる内容が一冊でよくまとまった、なるほど多く勧められるのも納得する一冊でした。朝鮮半島や韓国という国家、その人々にどう接していくかということは、この先も様々な問題や論点を抱えて行くのでしょうけれど、朝鮮戦争とはなんだったのか、それは日本の(太平洋戦争)戦後復興にも大きく影響している出来事なので、もっと知られていいだろうなとは思います。

開戦当時韓国軍には機甲戦力も有効な対戦車兵器も無く、北朝鮮軍のT-34が猛威を振るった話は有名ですが、爆薬抱えた兵士が肉迫攻撃で阻止したなんて話を読むと、やはり韓国軍は旧日本軍の遺伝子を受け継いでたんだな・・・などと思うことしきり。そして韓国軍が装備していたバズーカがなぜ無力だったのかという疑問に明確な答えを得られた気がする。なにせドイツ人はパンツァーファウストシノギを削っていたので、なぜに朝鮮半島でそれが出来なかったのかが不思議だったのよ。

二・三六インチバズーカの弾薬の威力不足が指摘されたが、狙う場所が問題であったとも言える。背後に回りこんでエンジン室を撃ち、キャタピラを狙えば、それなりの効果はあったはずである。しかし、戦場の心理としては、まず戦車砲や機関銃を無力化しようと、もっとも装甲が厚い砲塔や車体の正面を狙うものである。戦車の背後に回りこみ必殺の一撃を加えるというのは戦争映画のなかの話であって(後略)

もし旧日本軍がバズーカ的な兵器を装備していれば、対戦車戦闘に習熟した士官なりなんなりで、もちょっとなんとかなったんではあるまいか。そんなことを思ったりだ。

朝鮮戦争は正規軍の正面戦闘だけでなく、ゲリラ相手の掃討戦、保安の回復と治安維持も重要だった戦争で、この先の不正規戦、非対称戦の時代には、再評価されてよい出来事なのかも知れません。

それで著者は戦後外交間を経て交通部長官(運輸大臣)のポストに就くのだけれど、よど号ハイジャック事件をきっかけに日本政府との伝手を構築してソウルに地下鉄を建設していく様子が描かれている。現在の日韓関係が植民地支配と太平洋戦争の後遺症に影響されているのは確かだけれど、植民地支配と太平洋戦争を直接体験した世代同士のほうが両国関係はうまく行っていたようにも思えるんだよね。

それはいったい何故だろう?