ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョナサン・キャロル「薪の結婚」

 

薪の結婚 (創元推理文庫)

薪の結婚 (創元推理文庫)

 

 

 

「蜂の巣にキス」

ジョナサン・キャロル「蜂の巣にキス」 - ひとやすみ読書日記(第二版)

「木でできた海」

ジョナサン・キャロル「木でできた海」 - ひとやすみ読書日記(第二版)

 

とともにクラインズ・ヴュー三部作となる一冊。順番としては2番目なんだけど、読んだのは最後となった。

 

冒頭「犬がベッドを整える」なんて章題からはじまるのでこりゃ変な話かなーと期待したらさにあらず、単に元カレのセフレを「ドッグ」なんてあだ名で呼んでる女性が主人公で、中年男女のアバンチュール的恋愛話を延々読まされる(ハイスクールの同窓会に行ったりする)羽目になったので死ぬかと思った。

 

が、妻子ある家庭から略奪愛した彼氏が新居に移った途端ポックリ死んだあたりから急にスピード感は増し、現実と虚構、過去と未来、在るものと在るはずがないものの境界線はあいまいになっていく…そこは大変にキャロルらしかった。正気の担保されない世界を好む読者の正気は誰が担保してくれるんだろう?実にキャロル作品の魅力はそこにあると、常々思っているので。

非常に変わったかたちの「ヴァンパイアもの」であったりするので、ちょっと変わった吸血鬼が読みたいなんてひとにもお勧めです。

 

居るはずのない人物が颯爽と現れて主人公を救う、このラストはまさに「死者の書」であるなあ。