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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「君の名は。」見てきました

メモ

公式

まず高校時代の友人の話から始めよう。毎朝の通学にいつも駅の同じ場所から電車に乗るやつがいて、だいたいそんなのは個人の習慣で別にどうということもないんだけれど、ただそこはプラットフォームのごみ箱の位置だったのよね。
んで、あるときふと尋ねてみた。なんで毎朝わざわざごみ箱の前なんかに立ってるの?

「実は中学時代に好きな子がいて」
ほうほう
「ある朝たまたまここで電車を待っていたら向かいの電車に乗っていて」
ほうほう
「目があって彼女がにっこり笑って」
ほうほう
「でもこっちはただ驚いてるだけでそのうち電車も行ってしまって」
ほうほう
「もう一度会えないかと思ってそれ以来ずっとここに立っている」
それでもう一度会えたのかね
「いまだに二度と会っていない」

お前は病気だ

その後彼がどうなったかは知らない。もう死んでいても別に驚かない。


で、「君の名は。」です。以下ネタバレ、かなり核心に触れます

正直細田守新海誠には飽きてるところがあって、今回もどーしよーかなスルーするかなーとか思っていたのだが、強力にプッシュする意見を受けて見に行く。

男女が入れ替わる話で、なにか障害があって二人はなかなか会えない関係だというのは事前に聞いていたので、ヒロインの三葉さんが隕石湖のほとりの街に住んでいたのは平行世界、パラレルワールドものかしら…とか思っていましたらまあ、そうではなかった。
ほしのこえ」のように携帯電話(スマートフォン)をガジェットとして、「秒速5センチメートル」のようにコミュニケーションのもどかしさを主軸に据えて、「言の葉の庭」(いや新海作品ほとんどすべてに共通する)のように将来の夢、展望、不安を男女間の恋愛に絡めて行って…いろいろ集大成的なお話でした。いろいろすっ飛ばすけどハッピーエンドに終わったのは主人公の瀧くんが建築関係志望だったことと無関係ではないでしょう。土建屋万歳。いやさ泣けた泣けた。青春は爆弾だぜてっしー!!

ほんでね、

事前にもう一つ、本編中での彗星の軌道図が間違ってるって話を聞いて、そのことは「ネタバレにもならないし軌道が正常でもストーリーが成立する」ので「ささいなミスなので残念」ということだったけどさ、

いや、それはどうだろう。

彗星の軌道が異常であることはこの物語の重大なギミックだったし、メインテーマである「男女の入れ替わり」が起きたことさえ、彗星の落下で生じる被害を軽減させるためではないか…とキャラクターに推測させてたじゃない。
もしもティアマト彗星(なんて意味深なネーミングだ)が通常の軌道を描いていたら、スイングバイもない近地点で三度も同一地点に落下してくることの不自然さだって相当なものではないかなあ。

だから、あの軌道図こそが、この物語の中核なんではないかなと思うのよ。ふだん他人の感想には正解も不正解もないと思っている(だから「君の感想は誤認だ」とかいわれたらムカツク)のだけれど、今回ばかりは、彗星の軌道が異常であることを「ネタバレではない」「天文学的に正しく描いてもストーリーに何の影響もない」と感想を述べている人たちにアンタナニミテタンダヨぐらいのことは言いたく思います。

近地点でロッシュ限界でもないのに彗星が分離することは劇中でも異常を持って(ただし、天体ショーとして)受け止められていたし、やっぱり太陽を公転軸としない異様な軌道を描くティアマト彗星というのが、作品の意図としては正しいんじゃないでしょうか?

…ま、円盤で作画修正されてたら、その時は石でもぶつけてくだされ(笑)


たぶん、前提として「新海誠の映画はリアルだ」という予断があるからミスにも思えるんじゃないかな?自分はそもそも新海誠の映画は「印象派」だと思っているので、リアルであるか否かにあまりこだわりがない。そのことの是非はまあ、ともかくとして。