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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

シン・ゴジラ見てきました

メモ

どこから書けばいいのだかよくわからない。いろんなことが頭の中をよぎっている。
以下ネタバレありにて。


今回もまた、千代田区一丁目一番地には届かなかったんだなあというのが、見終えた瞬間に出てきた一番の感想です。シン・ゴジラの目は人間だけを見下ろしているという設定を聞いていたので、永田町を破壊し霞が関を焼き尽くしたゴジラがどこで足を止めどっちを向いたまま凍結したかを考えたら、そこにメッセージ性を見出さないわけにはいかないので、なるほど左翼な人々が怒るわけだな、とは思った。何しろ「怪獣」という破天荒な代物に対して体制(システム)側がなんとかしちまう話だからねえ。行政の勝利なんて反体制派にとっては悪い夢のようなものだろうよ。

これまで怪獣映画で「政府」というのはむしろ無力な存在で、その無力な政府の外側で、個人なりリベラルな特務組織がヒロイックに問題を解決するというのがまあ王道なわけで、これを破ったのは(自分が知る限りでは)平成ガメラ3部作ぐらいなものか。あれも樋口がらみだったけどね。

恋愛要素も家族向け要素もヒロイズムも排除して、要は「愛」というキーワードをフルスイングでブン投げて作ったのは組織の中の部品でしかない個人、使いつぶされる「決死隊」としての個人、体制に隷属する存在としての個人、と、そこで繋がれる「友情」こそがキーワードなのかもしれないがしかし「日本はアメリカの属国である」と真正面から言い切って、それでも善人しかいない物語の中で、日本に対する核攻撃を容認するキャラクターを登場させるというのはかなりの冒険だったろうな。赤旗が見たらなんというだろう?

真正面。

東日本大震災福島原発災害を体験した日本のいまを真正面から描いた作品であることは間違いない。そういうものをマンガや怪獣映画でしか作れないことに日本の「一般の」映画なりテレビドラマなりの作り手の皆さんは危機感を感じるべきです。

※「太陽の蓋」という映画があるとのことで、不勉強でした http://taiyounofuta.com/

怪獣映画を劇場で見るのは「ガメラ3」以来、ゴジラ映画なら84年版以来なんだけど、今回たまたま品川のIMAXで見たので上映前に八ツ山橋を見物しながら初ゴジと84年ゴジはどっちも列車を襲って…みたいな話をしていたら、いざ上映されたら八ツ山橋は映るわ列車はゴジラを襲うわで、変な既視感を味わいました。旧劇エヴァで劇場内が映し出されるのとはちょうど正反対の観劇感覚。

エヴァ

たしかに随所でエヴァっぽい。リッちゃんが太鼓をどんがどんがし始めたところでは笑い出したことを告白せざるを得ない。それでも要所要所で伊福部BGMを(嫌味なほどピッタリに)使っているところはゴジラっぽいのだ。アメリカ人が出てくる場面は全部パトレイバーに見えたが。

パトレイバーらしさも随所で感じられたのは何だろう?パトレイバーもまた「リアルな怪獣映画」を志向した作品ではあったけれど、ゆうきまさみ先生の感想も是非、聞きたいところで。

リアル。

リアルという言葉を自分はあまり好きではない。これは特にプラモデルを作る人ならわかるだろうが「リアルだ」とか「リアルな」なんて言葉に実態は伴わないのだ。「新海誠のアニメはリアルだ」なんて評されるけれど、むしろそこにあるのは現実を誇張した印象主体の表現であって、実存性や自然主義とはむしろ対立する位置にある。カラーモジュレーションってディフォルメでしょ?
と、そこまで前置きした上で、やっぱりこの映画にあるのは「リアルな怪獣映画」としてのゴジラvs日本なのである。良さはそこにある。ディティールの積み重ねこそが嘘くさくない雰囲気を醸造する。

ディティール。

でいえば自衛隊のディティールは積み重ねられていた。90年代に確かスタジオ・ハードがらみで「ゴジラ自衛隊」みたいなシミュレーション本が出ていて、そこで言われていた「対戦車ヘリコプターによる頭部への集中攻撃」を見ることが出来たのは眼福だった。そして戦車と機甲科、特科がここまで頑張ったのは実際良かった。84年版でバカみたいに東京湾岸に布陣してバカみたいにゴジラに薙ぎ払われる戦車隊からは雲泥の差だ。

まあ負けちゃうんだけどさあ。庵野秀明による戦車の描写もエヴァのTVシリーズ第一話→新劇エヴァ破→シン・ゴジラとだんだんに比重を増していくような気がするので、この方向は今後も期待したい。でもシン・ゴジラ2なんか死んでも作るんじゃあねえぞ。

あとなにか書いておくべきことはあっただろうか?庵野エヴァQを作ったときに、東日本大震災の影響で当初予定していた構成を変更させられたという話がどこまで信憑性のあるものかは判らないけれど、使徒は日本に現れ、多大なるインパクトを残して去った。そこにはシンジ君もエヴァもいなかったけれど、微妙にとうが立ったアスカはいました。

シン・ゴジラとはそんな映画である。ああ、友成純一の「放射能獣-X」が読みたい

放射能獣-X

放射能獣-X

それとタミヤの新幹線700系がホスィ。これダンガンレーサーの派生なんだぜwww

繰り返しになるけれど、いまの日本を真正面から扱った直球な内容です。いまの日本の評論家はこれをどう料理するのだろう?それを知りたくなりました。

東雅夫なら佐野史郎と対談して「鎮魂と再生としての民俗性」を語るだろう。

東浩紀ならブラックツーリズムとしての福島原発ゴジラを説くかもしれない。

森瀬遼はグレート・オールド・ワンの復活を寿ぐに違いない。

津田や宇野や柳田や、まあその辺のひとたちのいっちょかみも見てみたい。

そしてシノハラユウキならば、アイドルマスターシン・ゴジラガールズを創造せずにはいられないだろう。*1

ああ、これを言い忘れていた。嶋田久作は最高にいい役者だ!久しぶりに堪能出来た・・・

*1:「機龍警察 シン・ゴジラ」でも可。