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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

米澤穂信「王とサーカス」

 

王とサーカス

王とサーカス

 

 う~~~~~~~~~~ん、判断するのが難しい作品です。「さよなら妖精」の大刀洗万智を主人公に据えた長編ミステリー。2001年にネパールで起きた王族殺害事件を舞台にしているけれど、あくまでそれは舞台であって太刀洗万智が出会う事件そのものは、王族殺害に直接かかわる訳ではない。事件解決も謎解きもささやかなものであって、殺人事件(そう、これは殺人事件を解決するミステリーなのだ)の「真実」にはあまり価値がない。例によって米澤節(?)で、明かされるべき真実は事件の謎解きのその先にあるのだけれど、ではそれが何だったのかと考えると、判断するのが難しいのです。

一言でいうと太刀洗万智が覚悟を決める話なのだけれど、その「覚悟」の在り方が、これを容易に是認して良いのだろうかと悩まされる。amzonの書評を見ると「著者本人のメディア(マスコミ)観についての是非」を問うような感想も散見されるし実際そういう読み方をされて当然の内容・ご時世だろうとも思うけれど、作品と著者は別だしなあとも思うのだ(とはいえ作品が著者の一部であることは言うまでもない)。

好きか嫌いかと言われれば好きなんだけど、世の中がこれを絶賛しているのが腑に落ちないのですってそれは嫌味な読み方だな…