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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ブラム・ストーカー「七つ星の宝石」

 

七つ星の宝石 (ナイトランド叢書)

七つ星の宝石 (ナイトランド叢書)

 

 「吸血鬼ドラキュラ」であまりにも有名なブラム・ストーカーによる長編小説。ナイトランド叢書を読むのは始めてですね。知られざる作品を世に出してくれることに感謝。巻末解説によるとストーカーの作品として母国イギリスではドラキュラに次いで読まれている作品だそうです。

これまでストーカーはドラキュラ以外に短編を読んでて「判事の家」なんかはかなり好きなんだけれど、今回はうーん、刊行当時(1903年)大流行だった「エジプト」を題材に、女王のミイラと復活の謎、「七本指の手」などの小道具やタイトルには大変魅力的なものを感じたのですが、お話そのものはうーむ…。ミステリ仕立ての前半と、冒頭で何者かに襲われ意識を喪失、お話のカギを握る人物トレローニー氏が目を覚ましてからの急展開の後半でちょっと話の温度が違うような。推理小説怪奇小説がまだ未分化な時代の作品であることはともかくとして、「ノックスの十戒」なんてものが生まれてくるわけだな、てなことを思ったりする。なんだかんだで話が進んで主人公以外皆死ぬ、という初版と、なんだかんだで話が進んでみんなハッピーエンドという1912年版(短縮版)の2種類の結末が併記されているのは面白かった。そして解説にも書かれていることだけれど、当時の最先端の風俗や科学的発見を取り込もうとする意欲ははっきり伺えます。100年以上後の読者から見れば古い作品でも、100年以上前の作者はいま・その瞬間に、新しい何かを産み出そうと奮闘しているわけで。

そういうところは非常に興味深く読めた、不思議な読書体験でした。

 

途中で友人であるメアリ・シェリーの『鎖を解かれたプロメテウス』(いわゆるフランケンシュタインね)がかなりむりくり引用されてるところなんかは、なんだか微笑ましい(w