ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

藤原辰史「トラクターの世界史」

 

 農業の本、農業機械化の本だけれどまあタイトル通りにトラクターの本です。機械化、モータリゼーションが人類の社会をどれほど変革していったかは、例えば軍事書なんかはたくさんあるけど農業の本ってどんな感じなんだろう?普段農業の本とか全然読まんからなあ。すなおに「乗りもの」の本と捉えてすなおに読むと、これがいろいろ楽しいのね。土木とも違って農業ってダイレクトに「個人」「世帯」を直撃するものだから、機械化による変化がダイレクトに個人や世帯を直撃して社会の在り様を変えていく事例がいくつも取り上げられています。アメリカやソ連、ドイツといった20世紀初頭にダイナミックな社会変革が起きた場所で、それぞれトラクターはどのように発展していったのか、そこで見られる差異は何か、それは現代にまでどんな影響を与えているのか、そういうお話。

 

日本におけるトラクターの発達にも1章が割かれて詳しく書かれていますが、岡山県が日本のトラクター発祥の地だとは知らなかった。あと「赤いトラクター」は別にロシア発祥でもなんでもなかったのな。アメリカがまだソ連を国家として承認する14年も前からフォードがトラクター売りつけてたのも大概だなとは思いますけど(w

 

そしてどこの国のトラクター技術者も、戦時になれば戦車やその他軍需産業への転身を求められる。それもまた時代の真実ではあり。

 

トラクターのプラモデルが作りたくなりました。なんとなくね。