「老人と宇宙」シリーズ三部作の6巻目(嘘は言ってない)。カバーにもある通り原題は「The End of All Things」なんでいよいよシリーズ完結編らしいのだけれど、しかしこの邦題はどうなんだろうな(笑)
当初は「ミリタリーSF」であったこのシリーズ、巻を重ねるごとに戦闘やアクションシーンはどんどん少なくなっていって、今回は本当に添え物に近い。むしろ強調されるのは対話や外交であって、外交SFというか「外交官SF」みたいになっている。スター・トレックのお国ですね。
あいかわらずのスコルジー節で会話も記述も軽妙なんだけれど、軽妙な割にはそこで描き出される世界の在り様や登場人物の決断はあまり綺麗には見えてこない。外交というのは本質的にダーティで、ダーティな手段を選ぶことで、安定と繁栄を目指すような、そんな作品です。相互不信なくしてなんの平和か。
そういうところがね、いいなと思うのよ。どうしたって現代(21世紀の現代)の世界とアメリカ合衆国の置かれている現状を思わずにはいられないよなこういうお話はなー。
はじめて書店で「老人と宇宙」を手に取り選んだ自分をほめてあげたいですねえ。某別のミリタリーSFとどっちにするか、ちょっと迷ったんだよな(笑)