ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

A・E・ヴァン・ヴォ―クト「モンスターブック」

 

 以前読んだ「恐怖通信」(http://abogard.hatenadiary.jp/entry/20141220/p1)と対になる、中田耕治編集・若手女性翻訳陣による今回は短編集。モンスターブックというのはずいぶんシンプル(?)なタイトルだけど、「宇宙船ビーグル号の冒険」に代表されるような「モンスターSF」がテーマになっています。ビーグル号ものもひとつ「神経戦」(鳥人間リームのエピソード)収録されていて、やっぱりヴォ―クトの代表作といえばビーグル号ということになるのかな。かつてはハヤカワや創元でずいぶん長編も出てたけど、いまじゃほとんど絶版、たまに復刊されたりはするけれど、作家活動後年の思弁的な作品より初期の怪物SFのほうがずっと有名なのは、それはどうなんだろうと思わなくもないが、考えてみたら自分もビーグル号以外は「イシャ―の武器店」をかなり昔に読んだぐらいしかないのよね。

で、まあいろんなタイプの「モンスター」が出てくるんですが全般的に訳がぎこちないのと、「モンスターSF」という大枠ではどれも共通する作品が集められているからか、正直「恐怖通信」とくらべてもイマイチの感が無きにしも非ず。とはいえ「永遠の村」の意外なモンスター像は、かなり驚かされました。うん、これがピカイチですね。