ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ダフネ・デュ・モーリア「人形―デュ・モーリア傑作集」

 

ずいぶん前に「鳥」を読んだ*1デュ・モーリアの短編集。「いま見てはいけない」*2も確か読んでたけれど、そのときは感想書かなかったんだよな。今巻は初期短編集ということで、巻末解説には「若書きでもデュ・モーリアデュ・モーリアだと思わされる」と賛意が寄せられているけれど、正直なところあんまり「面白くはなかった」。どっちかというと不愉快な小品の連続で、庶民が不幸になったりアッパーミドルの悪行が悪行のまま終わったりという「読後感の悪いO・ヘンリ」みたいなものばかり続いて、白状すると何度か途中で読むの止めようかと思った。

とはいえ、収録順で最後の2作「そして手紙は冷たくなった」「笠貝」は、不愉快とか読後感の悪さとかが高まり過ぎて「面白さ」にまで昇華されているような印象を受ける。なるほど「レベッカ」につながる*3*4、これはひとつの階梯なのですね…

しかし収録作品の大部分は異様に後味が悪いので、あまりひとには進めたくない一冊ではあり、あんま精神が疲弊してるときに読むようなもんじゃないよなと自分でも思うw