All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 桜坂洋,安倍吉俊
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 文庫
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部屋中探したけどみつからなかったOTL
よって記憶で書く。
あとがきを読めばわかるのだが、本作はコンピューターゲームを強く意識して書かれている。
ゲームをやる、やらされる感覚を直接描くのではなく、「ループする時間軸」というSF的な味付けを使ってミリタリーSFに昇華させているのが良い。
ループすなわち同じことを(強制的に)繰り替えさせられるというのは本当に苦痛で、日常生活や仕事上のルーチンワークなどがよい例だろう。以前やったことがある「プリズマティカリゼーション」というプレステの美少女ゲームがまさしくループする日常を扱っていて、プレイヤーに苦痛を強い、そこから脱出する喜びを与えてくれる。どれほどヘタレなグラフィックスであろうと自意識過剰なテキストだろうと「違う」ものに接する喜びは代え難い。おまけに本編がさっぱりな内容なので相対的にすごく楽しい。もし「All you need is kill」を読もうと思う方がいれば、まずその前に「p17n」をプレイすることを強く推奨する*1
http://www.success-corp.co.jp/software/sl/prisma/
本題に戻ると本書はラヴストーリーである。戦闘マシーンみたいな人間が異性と出会い、人生すっかり変転する。「キリコ・キュービィ、フィアナと出会うの巻」のような出会い系SF。ガール・ミーツ・ボーイ。そう、戦闘マシーンなのは彼女の方なのだ。ジャパンのレストランでは食後のグリーン・ティーは無料だ。
現代の社会に生きる人々が持つ閉塞感を、上手くエンターテインメント化していると思う。「怪獣使いと少年」とか「円盤が来た!」に通じるような何かを、誰か書いてくれないものかな。
余談。
「パイルバンカー」という単語がすっかり一般名詞化されているのは、ボトムズ好きとしては感慨が深い。あとこれ「2005年上半期2ちゃんねるライトノベル板大賞」受賞作です。だからなんだ。
*1:この際、面白いかどうかと言うことは二の次だ