ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

突撃!隣の本棚バトン

盲管銃創さんのところhttp://8048.teacup.com/mokan/bbsから回ってきました。
誰かが回してくれるのを鼻息荒く尻尾振って待ちかまえていたなんてことは決してありますw

  • 1.直感で選び出してください。今、一番お気に入りの一冊。

「Herrliche Tanzsitzung」と「Nacht der lamgen Messer」の2冊。どちらもナチスがらみの、マニア向け同人誌なので詳細は控えます(^^;

  • 2.大きな声で訴えてください。ぜひ、他の人にも読んで貰いたい一冊。

冒険・スパイ小説ハンドブック (ハヤカワ文庫NV)

冒険・スパイ小説ハンドブック (ハヤカワ文庫NV)

本を読む、ということに真面目に取り組みだしたのは高校生の時で、その際もっとも参考にしたのは同じ早川の「SFハンドブック」や社会思想社の仁賀克雄一連の「ミステリ・ベスト○○100」シリーズでした。世の中には自分の知らない面白い本が随分色々あるなーと、目眩がしそうになったものです。ここで挙げた一冊はもう少し後、大学の頃に読んだもの。
「冒険小説」と言うジャンルは今でこそ下火になってしまいましたが隆盛していた時期は確かにあって、この一冊には綺羅星のような名作がいくつも紹介されています(もっとも国産のものは無い)。バラしてしまうとこれ、昔借りて読んだもので今日買い直して手元にあるんですがいま読んでも実に楽しい。
「冒険小説ってどんな小説?」と聞かれて返事に困る面はやはりあって、ジャンルの規定が難しいんだなってことも作品紹介や座談会からも伝わってきます。ハードボイルド、ミステリ、サスペンス、様々な要素を持ち、硬質なエンターテインメントであり・・・
ひとつ言えることは読書が好きだっていう人ならば、このジャンルを知っておいて損はないかと。そして知らない分野の読書を始めようという時には、やっぱりこういうガイドになるものがあると便利だろうなということでしょう。
ただ問題は、この本で紹介されているものの多くは入手難である、という現状ですね。

  • 3.遠慮無用です。思う存分語ってください、この一冊。

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

ジャック・ヒギンズの最高傑作。第二次世界大戦中密かに計画されたチャーチル暗殺作戦に従事するクルト・シュタイナ中佐とドイツ空挺部隊。それに協力するIRA工作員リーアム・デブリン、迎え撃つ米軍レインジャー部隊のハリイ・ケイン少佐。みんないいヤツばっかりで、「ドイツ人=ナチ=外道畜生」というステロタイプな図式を壊したことで有名なこの物語に「分かり易い悪人」というのはあんまり出てこない。精々ゲシュタポの拷問係ぐらいなもので。ドイツ軍情報部のラードル中佐もパイロットのゲーリケ大尉もやたらと格好良い。「自由イギリス軍」という親ナチス派イギリス人が結構悪いヤツだけれども、それだってある意味歪んだ時代の犠牲者のようなものだ。けれども善人ばかりでもどうあったって対決は避けられない。そういうやりきれなさが、この作品の味である。
この作品はフィクションであり、登場する人物や地名は架空のものである。しかしながら我々の知らない歴史の裏側で、ひょっとしたらこんな事が起きていたかも知れないのだ。そんな凄みも感じられる、地に足のついたエンターテインメント。「冒険小説」とはなにか、とりあえずこの一冊を読めば解るはず。

余談だがいまでも時々、イギリス東部ノーフォーク地方の観光局には「スタドリ・コンスタブル村はどこですか」という日本人観光客(主に男性)からの問い合わせが来るそうである。いや気持ちはわかるが。

  • 4.厳選して選び出してください。貴方の本棚にある、一番「表紙が美しい」と思う一冊。

世界の駄っ作機〈3〉

世界の駄っ作機〈3〉

このシリーズどれも表紙が航空イラストレーションの第一人者佐竹政男画伯の筆によるものでたいへんに美しいです。amazonで画像イメージがあったのが三巻だけだったので特にこれを。
黄昏の空を舞うブラックバーン・ロック戦闘機。後部動力銃座に四連装の7.7ミリ機関銃を持ち、主に爆撃機を狩る任を持つこの美しく描かれた艦上戦闘機が現実にはどれほどしょ〜もない飛行機だったかは本文参照。愛に溢れて、駄目な逸品を語る。

  • 5.思い出してみてください。好きな台詞と、出典。

「あなたはすでに人間の最高の年齢に達しているように見受けられます。あなたには百年目の年が、いやそれ以上の年が迫っています。そこで、あなたの生涯を呼び戻して総決算をしてみませんか。勘定して下さい、あなたの生涯のどれだけの時間を債権者が持ち去ったか、またどれだけを愛人が、どれだけを主君が、どれだけを子分が。またどれだけを夫婦喧嘩で、どれだけを奴隷の処罰で、どれだけを公用で都じゅうを走り廻って。これらに病気をも加えて下さい、私たちが自らの手で招いた病気を。また使わぬままに投げ出した時間をも加えて下さい。するとお気付きになるでしょうが、あなたが持つ年月は、あなたが数える年月よりも、もっと少ないでしょう。記憶をたどりながら、ご自身のことを再び思い出してください。いつあなたは自分の計画に自信をもったか。自分が決めたように運んだ日はいかに少なかったか。いつ自分を自由に使うことができたか。いつ顔付きが平然として動じなかったか。いつ心が泰然自若としていたか。あなたがこんな長い生涯の間に行った仕事は一体何であるか。いかに多くの人々があなたから生活を奪い去ったことか――失ったものにあなたが気付かないうちに。いかに沢山のものが無益な悲しみや、愚かな喜びや、飽くことのない欲望や、こびへつらいの付き合いによって持ち去られたことか。あなた自身のものが、いかに僅かしかご自身に残っていないか。そのうちお分かりのことと思うが、あなたはまだ未熟の内に亡くなるでしょう」

って長げーよ!

出典はこれ。

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

や〜、いまでも身に染みる文言ですね。人生は短いのでみなさん好きに楽しみましょう!セネカの忠実な弟子であった暴君ネロのように!!・・・実を言えば初読は予備校のテキストでした。浪人生に何を読ませる気だ、代○木ゼミナールめ。

  • 6.今、読んでみたいor気になっている一冊。

ヨコハマ買い出し紀行」のえーと14巻かな?何でも連載は完結したそうなので、多分次で打ち止め。どんなラストになるのか気になるところです。

ひところポール・オースターにハマっていた時期があって、同じ柴田元幸訳なので買ってみた一冊。・・・つまらなかったOTL

昔どっかで「怒りの核ミサイル」とゆー本見つけて「すげータイトルだな」と思ったことが。読んでないんで内容は全然知りませんが・・・多分核ミサイルが怒る話なんだろうなと思うが(笑)

  • 8.自慢してください。「これを読み切った自分を褒めてやりたい」一冊。

拷問者の影 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

拷問者の影 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

警士の剣 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

警士の剣 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

調停者の鉤爪 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

調停者の鉤爪 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

独裁者の城塞 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

独裁者の城塞 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)

ジーン・ウルフ新しい太陽の書」シリーズ。80年代サイエンス・ファンタジーの傑作。異世界幻想小説ならこの一本!しかし話はやたらと長く、やたらと複雑で高校生当時はページを追っていくだけで一苦労だった。昨年待望の再刊があって即購入、今度はじっくり読もうと実家に置いてあって(だから厳密には本棚には無いです)、実はまだ読み終えてない(爆)

  • 9.頭を捻って考えてください。「これは絶対、このバトン見ている他の人が持っていない」と思う一冊。

「新制 最近世界史地図(改訂版)」三省堂編集所編

タイトルだけではよくわからないけれど奥付には昭和十年発行とある、戦前の中高生向け地図帳。当時の世界情勢の一端が、様々な図版から読み取れる。人口数が最も多いのは英国だったり、中東原油が未開発なんで産油国のトップはアメリカ、次いでソ連コーカサス地方だったりする。ヒトラーブラウ作戦なんて始めるわけですね。
ご時世だなあとクラクラしたのは「シンガポール」が線で消されて代わりに達筆な文字で「昭南」と書き込まれてることです。だれですかこんなことした軍国少年わ。
巻末には所有者の名前が書き込まれています、僕の叔父さんです・・・

多分、実家の物置だったか押し入れだったか本棚だったかで発見されたこの一冊がなければ、シンガポールから物語りを始めようとは思わなかったろうな。

  • 10.バトンを回す人、3人。

別所で打診します