ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

推理小説というのは現実に対する不服申し立てであるとして*1、大抵の場合現実は不服など聞き入れてはくれない。「存在自体がミステリー」などと言われたこともある富士見ミステリー文庫が無くなってしまうと聞いてちょっと読んでみた。現実って辛いよね。

一読完了成る程これは兵士の話ですね。好きか嫌いかといわれたらまあそうね「君が嫌いだというなら俺は好きだね」ぐらいの位置にはつくかなーと思う。自分がもっと若くて、日本海沿岸に住んでて、おまけに美少女だったりしたらまた違う感想を持つのだろうけれど、現実にはそうじゃありませんのだ。

どこがミステリー小説なんですか?と問いただしたくなる小説なのは確かだ。とはいえ

あたしは、暴力も喪失も痛みもなにもなかったふりをしてつらっとしてある日大人になるだろう。友達の死を若き日の勲章みたいに居酒屋で飲みながら憐情たっぷりに語るような腐った大人にはなりたくない。胸の中でどうにも整理できない事件をどうにもできないまま大人になる気がする。だけど十三歳でここにいて周りには同じようなへっぽこな武器でぽこぽこへんなものを撃ちながら戦ってる兵士たちがほかにもいて、生き残った子と死んじゃった子がいたことはけして忘れないと思う。

実に富士見ミステリー文庫らしい小説ではあった。たぶんこれ児童虐待ものじゃなくて児童虐待ものの「ふりをしたなにか」だと思う。それがなんだかよくわからないが最後に一言述べさせて戴きたい。

・・・これなんてエロげ(ry

*1:「まあ世の中大抵のものはそうだからねえ」スタージョンならこう言うね