- 作者: 石津嵐,箕輪宗廣
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1975/11
- メディア: 文庫
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十四万八千光年ぶりに再読*1。記念すべきソノラマ文庫通巻No.1にして松本零士も西崎義展もクレジットされていないというある意味黒歴史的な一冊w
ヤマトがまだ最初のTVシリーズだけ、劇場公開すらされていない時期のノベライズなのでその後の続編や派生作品とは随分異なる。成立の経緯は長々ここで語るよりウィキペディアの項目の方が遥かに纏まっているので参照戴ければ幸いである。
TVのヤマトで相当の謎だった「なんでガミラスはイスカンダルの隣にあったのか」という疑問にスマート且つ皮肉な設定が成されていて、これはこれで非常に面白い。が、ヒドイ話ではある*2。「なんでスターシャはそのことナイショにしてたのか」とか「ガミラス人止めろよスターシャ」とかいろいろ想起される疑問点に明快に答が出る。「スンマセンなにしろ自分のやってることなんで」うひゃ。
あと、人が死ぬ。バタバタ死ぬ。TVのヤマトといえばドメル艦が艦艇で自爆して竜骨へし折られても翌週には完全復活していたがこっちはそんなことはない。第三艦橋の描写は特にないし真田さんは「こんなこともあろうかと」などと言う事もなくシャワールームで撲殺。スペース・ファイター搭乗員は居住区画に爆弾仕掛けられて被害甚大。機関部員は放射能漏れ事故で十数名死亡。そのほかの乗員も八名を残して飲料水に投げ込まれた猛毒によって全滅。全部島大介のしわざだ。
再読してみたらどんな戦闘よりもガミラスの捕虜と成り改造手術受けて送り返されたサイボーグ島大介のほうがよっぽど被害与えててワロスw戦闘シーンもそんなにある訳じゃないんだけれど。
全般的にTV版に比べて設定面が強固な割りに救いがなさ過ぎる。これをこのままアニメ化してもさほど面白くはないだろうな。そこら辺で救い、ハッピーエンドを盛り込んだ結果がTV版のストーリーなのかなと思わされる。が、無論本書は原作ではない。あくまでもノベライズ版である。もし誰かが日本ライトノベル興隆史みたいなのをものすときには外せない一冊だと思うけれど、やはり権利面等で難しいだろうな…
母星の命運を背負って出撃した巨大戦艦が片道特攻で還ってこない。*3実に「大和をSFにする」ストーリーで大変面白い作品なのだが。
あーあーそーそー、イスカンダルのスターシャが巨大コンピューターだったりするのでTVのヤマトで最も腹の立つ点である「なんで古代守はイスカンダルでラブラブ新婚生活してんだYO!」も無いです。TV版だとゆきかぜの乗員が気の毒過ぎるよなww