ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

野田昌宏「風前の灯!冥王星ドーム都市」

1983年刊行のSFマガジン別冊「キャプテン・フューチャーハンドブック」に掲載された日本オリジナル長編まさかの単行本化!そして帯に記されている通りこの一冊が野田昌宏の遺作となってしまったのだった…
巻末のあとがきが遺稿になると思われる。今更ながらどうしてキャプテンフューチャー全集ってハヤカワから出なかったんだろう??*1

内容はさすが練達の手腕でまったくもって違和感が無い。むしろハミルトンのオリジナルではイマイチ存在感の無い*2ジョン・マッカリスター太陽系政府主席とハーク・アンダース惑星警察機構最高司令官の二人が出てきて活躍する。いや別に大活躍ではないし…中活躍と言う程も無く…むしろ小活躍!小活躍する!!勿論陰謀の黒幕となる悪役はみんな大好き*3「火星の魔術師」ウル=クォルンでああやっぱこの人がいないと始まらないよなあ。

内容変わらず、とはいえ筆致に於ける野田節は翻訳よりも強く出ているフシがあって(笑)キャラの行動がオリジナルよりなんだろうその、カワイイんだな。あとがきでも触れてる鶴田謙二イラストと相俟って女性キャラはカワイイし*4総じて「銀河乞食軍団」的な気はする。もっともカワイイのはキャプテンとジョオンの口論に「まァまァ、夫婦喧嘩はやめたがいいぞ」といらぬお節介で気づかうウル=クォルンであろうか。いやいや全部あんたが悪いと思うぞw

自分はキャプテン・フューチャーシリーズ全部は読んでいないし、実を言えばどれを読んだか良く憶えていないのだが(問題発言)間違いなく本書は未読だった一冊で大変面白く読めた。良いことだ。ここで敢えて、そういう半端者な身の上を十分承知のことながら、言ってしまうがキャプテン・フューチャーシリーズの面白さ、その中核にあるのは


 浪 花 節 だと思います…

余談。

カバー折り返しの鶴謙イラストが妖艶なヌララ(ピンク髪!)とジョオン(にゅうとう!)に挟まれてご満悦な葉巻くわえたヒゲ親父で、さてこんな登場人物いたかなと思いをナノセコンドあ!成る程。

仰るとおり、SFは絵ですねえ、閣下。∠( ̄^ ̄) 

*1:ちなみにSFマガジン野田昌宏追悼号は10月号になるそうだ。今年は追悼が続くなあ

*2:それでもハヤカワ版の巻頭では毎度顔絵が紹介されてた重要?キャラ

*3:マンリー・W・ウェルマンも大好きだったと思われる

*4:アタシゃあ205Pのサイモン・ライト教授とジョオン・ランドールさンのイラスト見て「萌え」ってんですかい最近は、まあなんだかそんな気分になりましたよ。グラッグさンは矢ッ張り昔の水野センセの方がクルマみてーなデザインで好いてるんですけどねェ