戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌
- 作者: 小田切博
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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人から借りて読む。主題は「9.11事件とアメリカンコミックス業界」なんだけれど著者後書きで述べられる通りいわゆる「アメコミ」の変遷、発展の事情や特殊な流通過程などを幅広く紹介している面が強くてそっちの方が面白い。自分にとってのアメコミ知識は10年前に「スポーン」の実写映画を見に行って爆笑しながら映画館を出た時に終わっているので*1その後の業界事情を知れたのは良かった。フランク・ミラーは大変だったんだなぁとか、イメージコミックスは大変だったんだなぁとか、まあいろいろ。
いろいろ考えさせられるところは多いが分かりやすいところではヒーロー像の差、とかだろうか。仮に日本で大規模なテロリズム事件が起こったとして、廃墟と化したランドマークの救援作業に例えばウルトラマンなり仮面ライダーなりが(極めてシリアスに)従事している絵面って想像が付かない。NHKの朝ドラで阪神大震災を扱ったものがあったはずだけど、リアルタイムではなかったな。*2。率直にそれが出来るのはまあなんだろう、文化の違いですかね?ツインタワー倒壊現場で「世界征服や人類の破滅を願っているはずの彼ら(=マーブル・コミックスの大物悪役キャラ達)もなぜかその光景に涙を流している」のって変じゃねぇかぁ?などとは思えないほどのショックを受けた表現者たちがどんな行動をしたのか、それはアメリカだけの問題なのかって本。面白いぞ〜。
余談。
本文中で若干ふれられている「ガンダムSEED」についてリアルタイムで見てた者としては、「中立国オーヴ」とその行動を日本のイメージングだとする製作サイドの稚拙な見識が嫌われてたと思います。