ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

C.A.スミス「イルーニュの巨人」

イルーニュの巨人 (創元推理文庫)

イルーニュの巨人 (創元推理文庫)

久し振りに再版されてたけれど、自分が読んだのは図書館で借りた86年の初版。書影が出てないけど表紙画は米田仁士で、いやー懐かしい。いっとき日本の(非アニメ的な)ファンタジー絵描きとしていろんな所で(良くも悪くも)便利に使われてた気が。本書のイラストも内容とは全く関係なく、肝心の巨人にタイトルが被さって全然顔が見えないとゆーデザインを少しも考慮してないシロモノで、その辺のテキトー感も何故だか懐かしく、思えるもので。

SFとファンタジーとホラーが仲良く同居していた時代の短編集なので、ネタが古代世界の魔術師だろうが金星への宇宙旅行だろうが読んでる感覚としてはそれほど変わらない。しかしスミスはクトゥルー神話でも有数の傑作コメディ「魔道士エイボン*1の作者なので、一筋縄ではいかないような、割とケッタイな話が多くて面白かったな。「シレールの女魔法使い」とか「夜の怪物たち」とかですか。特に後者は最も少ないボリュームで、オチの唐突さが素晴らしい。これギャグだったのか!

SFとファンタジーとホラーが仲良く同居している時代は、怪談にオチが在ってもいいのだ(抗弁)

そーいや小林誠の「ハイパーウェポン」に出てくる「イルルニュ」ってコレがネタ元ですかね??

*1:真クリでは「魔道士の挽歌」として第二巻所載。少しも挽歌では無いw