ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョン・スラデック「蒸気駆動の少年」

蒸気駆動の少年 (奇想コレクション)

蒸気駆動の少年 (奇想コレクション)

タイトルからてっきりスチームパンクSFかと思い、しかし読んでみたら全然そんなんではなかった短編集。解説によるとジョン・スラデックは寡作ながら多才な人であったようで、

六十二歳で急逝した。残した作品はSF長篇が六冊、短篇集が五冊、ミステリ長篇が三冊、「その他」としか言いようの無い本が八冊余りである。SF界をゆるがす作家と呼ぶにはあまりに寡作だ。だが残した作品は、他の誰にも書けぬユニークなものばかりである。


だそうだ。「ジャンル:その他」ってなんかスゲー憧れるよな。ドタバタSFから本格ミステリまで奇天烈な作品だらけの本書にも「その他」な作品が収録されていて「不安検出書(B式)」というそれは具体的に言うと設問形式のアンケート用紙だったりする。まさに「あやしうこそものぐるおしけれ」です。*1

息子のクリスマスプレゼントに入手したクマのぬいぐるみが実は…な「小熊座」という作品と、馬と騎手との倒錯した愛憎を描いた「ホワイトハット」というのが広く一般的に勧められるあーでも後者の方、馬ってのは人間で騎手ってえのは侵略宇宙人なんでそのスペキュレイティブ!スペキュレイティブで在り給えよ諸兄!!*2

*1:橋本治訳では「ワケ分かんない内にアブナクなってくんのなッ!」

*2:でもホントに面白かったのは「ピストン式」って作品で巨大ロボットが街中の自動車をレ――するっておまえはクラウザーさんかよ!的SFなのであんまり大声じゃ勧められないのだ