ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

似鳥鶏「さよならの次にくる<卒業式編>」

さよならの次にくる <卒業式編> (創元推理文庫)

さよならの次にくる <卒業式編> (創元推理文庫)

また分冊か!と思わず呻いたけれども、前作「理由あって冬に出る」*1が楽しく読めたので無事続きが出たのは素直に嬉しい。幽霊を追い払おうとして幽霊に部室を追い出された「HIGHSCHOOL GHOST BUSTERS」だった前回から一転、今回の英題は「I NEED YOU」でさて誰が?誰を?必要とするのだろう…

基本的な構成は前作同様、小さな事件をひとつひとつ解き明かして行きながら背後になにか大きな謎がほの見える…ような。前回よりは各章の独立短篇要素が強く、ちょっと技巧を凝らしたエピソードもありで楽しく読める。ミノくんはいい友人、いや親友ですねえヽ(´ー`)ノ

続きもあるのでストーリー全般にはあまり深くは触れないが、謎解き過程でGoogleストリートビューを使用する箇所があってちょっとした感慨を覚える。いやこれが登場する小説、というかフィクション全般でだな、初めて目にしましたわぁ…*2


そしてこのシリーズ最大の謎、


表紙の眼鏡っ娘は一体誰なんだ?

に関してですが、前回は主に

「そんなの演劇部の柳瀬先輩に決まっているよ派」
「いやいや吹奏楽部の高島先輩に違いないよ派」
吹奏楽部でも秋野さんの方が同い年で好みだよ派」

の三派鼎立に加えて

「お前らバカだな伊神さんでファイナルアンサーだろ派」

が有りました。最期のグループは実に独創的で「伊神さんは男だけど女装してるよ派」や「地の文が間違っていて本当は女の子だよ派」などに別れ、ちょっと何処で見たのか思い出せないのですが「スカートに見えるのは丈の短い袴だ」という考察を目にしたときには心底感動したものです。

さて今回、名探偵の伊神さんは大活躍ですが上記三派の女性キャラは一人しか出てきません。イラストと本文の兼ね合いから見ても○○さんで決まりぽいのですがいやまて

成る程確かに今回いろいろと伊神さんのエピソードは出てくる。男だと書かれている。しかし…しかし…女ではないとはひとつも書かれていないッ!悪魔に証明させてみろッ!!

などとここまで書いてきて、恐ろしい事実に思い至った。そもそもこの問題は二作通じて「眼鏡をかけた女性キャラ」が一人も出てこないことに起因している。


だが、しかし


二作通じて登場する「山岳部の眼鏡の先輩」は男だとも女だとも書いていないぢゃないか!

まあ名前も書かれていないし

そもそも単なるモブシーンの人物なのだが

さりとて「重要ではないキャラクターだ」とも書かれちゃいねーのよ!ううう…

*1:http://d.hatena.ne.jp/abogard/20071205

*2:JR穴川駅、という具体的なネーミングが出てくるのだが穴川という駅は千葉都市モノレールと近畿鉄道にしかない。架空の地名なのか何かの間違いなのかは不明