ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

コーマック・マッカーシー「ザ・ロード」

ザ・ロード

ザ・ロード

昨年各所で絶賛されていた一冊。理由は特に明かされないまま文明も社会も崩壊した世界で、父と子が旅をするロードノベル。表層のストーリーだけ荒く筋を追うと一介のホームレス目線で描いた北斗の拳ただしケンシロウは不在、みたいなのだけれど、あらすじよりは文体筆致、そこで表現される親子の思い遣りとモラルが良い。微妙にすれ違う互いの慈愛。

隠喩の全てを理解する必要はないんだろうなと思うけれど、わかりやすいところではやはり「道」か。そこで運ばれている非物質的な何か、登場人物は「火を運ぶ」と言ってるが、(それメタファーでもなんでもねえ)それは例え一方が先に歩みを止めても次に伝えられる。状況がどんなに悲惨で凄惨でもその伝達作業はまぁ、素敵です。

ここで一句。


思い遣り
ロンギヌスより
おもいやり


てなことを思いつくのもイマならではw