ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

恩田陸「不連続の世界」

不連続の世界

不連続の世界

ずいぶん前に読んだ「月の裏側」の続編となる連作短編集。刊行されたと聞いたような気もしていたのだけれどすっかり失念していて、今更ながら読むに当たってまず前作を読み直すところから始めたりする。とんと忘れてたのにも理由はあって、前作はハードカバーで新刊当時すぐに買ってすぐに読んで、いまひとつの読了感だった*1まま本棚に放り込んで全然読み返してなかったことをバッチリ思い出した(苦笑)。なにしろ「月の裏側はとある有名なSF小説、(ネタバレ避け反転)

ジャック・フィニイの「盗まれた街」をオマージュしたネタでしかも人も街も全部盗まれて主人公はひとり残され不条理な境遇になって終わるとゆー、ある種のバッド(?)エンドだったんで、どうにもこう、落ち着かないんである。

それを受けて。

「不連続の世界」を読んで驚いたのはそういう「ホラーSF小説」であった前作のつづきが、一応の現実的・常識的な解決を見る「怪奇ミステリー小説」になってたことでちょっとビックリ。流石なんでも書ける人だなーと感服したけどまるで「ウルトラQ」が途中から「特捜最前線」になってしまうような物で、不連続にも程があるよなw

主人公である多聞のキャラクターは変わらないのだけれど、複数の視点が入り交じっていた「月の裏側」に比べて「不連続の世界」はひとり多聞の視点に固定されることでずいぶん異なる作品になっていて、それは多分長編と短編というボリュームの違いや、SFとミステリーというジャンル間の差異*2よりもずっと大きな違いなのだろうと、思う。文体の違い、か。

両方続けて読むと懐の広い世界観が見えてなんだか不思議な感覚だ。「月の裏側」の世界設定に基づけば「不連続の世界」の登場人物の幾人かは○○でないかも知れない。二つでひとつの「怪奇大作戦」みたいなものかなー。

そしてやはり掉尾を飾る一本、「夜明けのガスパール」のラストで多聞はまたしても不条理な境遇に落とされるのだけれどもそこはそれ、常識的な範疇には収まって充分「ミステリー小説」してます。

*1:おまけに速攻文庫落ちしてフクザツな心境にw

*2:ジャンル分けはあくまで自分の主観です、念のため