ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ヴィクトル・ベレーヴィン「宇宙飛行士オモン・ラー」

宇宙飛行士オモン・ラー (群像社ライブラリー)

宇宙飛行士オモン・ラー (群像社ライブラリー)

う〜〜〜〜〜〜む、SFかなぁ。宇宙開発を題材に扱ってはいるけれど実際的にも想像的にも科学要素はないわな。むしろファンタジー小説で寓話のたぐいにして置きたいところではあるけれど、「寓話」にするには荒唐無稽なだけで内容に実感が乏しい。先日読んだばかりの「ハルムスの世界」*1がまさしく荒唐無稽且つ実感が伴うお話だったので、その点ちょっと弱く感じるんだろうなー。

ソ連の宇宙開発はとんだインチキだったんだよ!とゆーお話で自動装置の代わりに全部人力(笑)で運用されるソユーズ…じゃないか、多段式月ロケットと月面車ルノホートの、小道具だけ取り出せばコメディ小説のようだが(実際何処かではじめて目にした書評ではコミカルに扱われてた気がする)まあ、あんまり笑えません。ブラックではあるがユーモアではないよな。「風刺」であるためにはもうちょっと同時代性が必要だと思う。何も共有してない世代が突然「アポロ月着陸は陰謀」とか言われても困るよなー。

みたいな、ソ連版「カプリコン1」のようなお話。複雑。

しかし思ったんですけど「プーチン首相がハンティングでトラを仕留める」ようなニュースの受け取り方一つでも日本とロシアじゃ随分違いが在る筈で、ロシア人であればまた違った受け止め方を――肯定も否定も含めて――するだろうなと、それは感じます。ああ、そうだピンク・フロイドを聴きたくなるな。


ところでメドベージェフのフタが開いて電池と歯車の存在が暴露されるのはまだですか?